JIPデータベース2018:推計方法と概要

執筆者 深尾 京司 (ファカルティフェロー)/池内 健太 (上席研究員(政策エコノミスト))/乾 友彦 (学習院大学)/金 榮愨 (専修大学)/権 赫旭 (ファカルティフェロー)/田原 慎二 (千葉商科大学)/徳井 丞次 (ファカルティフェロー)/牧野 達治 (一橋大学経済研究所)/松浦 寿幸 (慶應義塾大学産業研究所)/宮川 努 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2021年4月  21-T-001
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

本論文では、2021年2月時点で最新版である日本産業生産性(JIP)データベース2018の作成方法と概要について説明する。 JIPデータベースは、詳細な産業別に精度の高い全要素生産性(以下、「TFP」という)計測を目指すKLEMS構想に準拠して、日本経済に関して利用可能な様々なデータを収集・統合し、名目・実質投入産出、生産要素投入、生産要素価格や分配、労働生産性やTFPなどの情報を、体系的に整備したデータベースである。旧来のJIPデータベースの作成方法については既に、深尾・宮川編(2008、第2章)で説明した。しかし、新しいJIP2018は、2008SNAに基づく我が国の国民経済計算(以下、「JSNA」という)に対応して、JIPを全面改定して作成したため、その内容を今回新たに説明する。最新のJIP2018と旧来のJIP 2015(2015年11月13日付)を比較すると、大きな違いとして、1)R&D支出の資本化など2008SNAに対応、2)部門分類を商品(アクティビティ)ベースから事業所の産業格付けに基づく産業ベースに変更(日本全体をカバーする部門数は108から100に変更)が指摘できる。本論文では、これらの点を含め詳しい説明を行う。