日本語タイトル:海外需要の不確実性と輸出・直接投資のダイナミクス

Uncertainty, Imperfect Information, and Learning in the International Market

執筆者 陳 誠 (香港大学)/千賀 達朗 (研究員)/孫 昶 (香港大学)/張 紅咏 (研究員)
発行日/NO. 2018年3月  18-E-010
研究プロジェクト 流動化する日本経済における企業の国内経営と国際化に関する研究
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備考

2019年5月改訂

概要

本研究では、海外子会社の売上高予測情報を含む日本の多国籍企業のデータ(経済産業省「海外事業活動基本調査」「企業活動基本調査」)を用いて、海外市場において企業が直面する不確実性に関する3つの新たな事実を提供する。第1に、海外子会社は、操業年数を経るにつれてより正確に売上高を予測するようになる。第2に、初めて外国に直接投資を行って進出する際に、その国が所在する地域(アジア、欧州、北米など)へ輸出経験のない企業の海外子会社と比べて、その地域へ輸出経験のあった企業の海外子会社は、現地の需要をより正確に予測することができる。第3としては、今期と来期の予測誤差に相関関係があり、こうした相関関係は、日本からの距離に比例して強まる。これらの発見は、子会社の売上高や輸出を通じて企業が海外需要の不確実性を学習する直接なエビデンスである。さらに、本研究は、企業成長の動学モデルをベースに、企業が輸出か直接投資を選択して海外市場に財を提供するように拡張した。カリブレーションしたモデルは、上記の3つの観察事実だけでなく、輸出・直接投資のダイナミクスの特徴も再現できるほか、Counterfactual experiments(反事実的な実験)による分析結果は、海外需要の不確実性の変化や貿易自由化が国際貿易と多国籍企業の活動に与える影響を分析する際に、企業の予測と学習を考慮に入れることが重要であると示唆している。

概要(英語)

Using a dataset of Japanese multinational firms that contains firm-level sales forecasts, we provide new evidence on imperfect information and learning over the firm's life cycle. We find that firms make non-negligible and positively correlated forecast errors over time. However, they make more precise forecasts and less correlated forecast errors, as they become more experienced. We then build a model with heterogeneous firms that gradually learn about their demand. We quantify the learning and real options channels along the age dimension, through which greater micro-level uncertainty adversely affects resource allocation at the extensive margin and thus depresses productivity.