日本語タイトル:中国からの輸入増加と日本企業のイノベーション

Innovation Responses of Japanese Firms to Chinese Import Competition

執筆者 山下 直輝 (ロイヤルメルボルン工科大学)/山内 勇 (リサーチアソシエイト)
発行日/NO. 2017年12月  17-E-126
研究プロジェクト 技術知識の流動性とイノベーション・パフォーマンス
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概要

本稿では、企業活動基本調査と特許データを接続した1995年から2010年のパネルデータを用いて、国内市場における近年の急激な中国企業との競争の激化が、日本企業のイノベーション活動に与える影響について分析を行った。具体的には、中国へのオフショアリングとイノベーション活動に関する意思決定の同時性をコントロールしたうえで、中国からの輸入浸透度が日本企業の特許出願件数やその質、および研究開発費に与える効果を分析した。分析の結果、国内市場における中国企業との競争激化は、日本企業の特許出願を増やすものの、被引用件数で測ったイノベーションの質を低下させることが明らかとなった。この結果は、日本企業が、国内市場における競争の激化に対応して、事業を護るための防衛的な特許出願を増やしていることを示唆している。また、オフショアリングなどを行っていない純粋国内企業にとって、競争激化はイノベーションを促進する効果を持たないばかりか、研究開発活動に悪影響を及ぼしていることも確認された。中国からの輸入が増える中で、イノベーションを促進するに当たっては、企業の研究開発支援や、オフショアリングを含め、より生産的な活動に資源が投入されるよう資源配分の効率化を促すことが重要と考えられる。

概要(英語)

This paper examines innovation response of a panel of Japanese firms to the intensified import competition from China for the period 1995-2010. We build a comprehensive firm-level dataset linking innovation activities including patenting and research and development (R&D) merged to cross-industry measures of Chinese import competition. Carefully accounting for a simultaneity bias between innovation and importing and the possible heterogeneous effects across firms, it is found that firms filed for more patents in response to increased import competition from China. However, this effect is only evident for a group of globally engaged firms. At the same time, Chinese import competition has adversely affected the quality of innovation as measured by citations. Overall, firms with a more domestic market focus are the ones who have felt most of the Chinese import competition, which is also reflected in their declined R&D efforts.