日本語タイトル:日本卸電力取引所の非流動性

Illiquidity in the Japan Electric Power Exchange

執筆者 池田 真介 (小樽商科大学)
発行日/NO. 2017年11月  17-E-122
研究プロジェクト 電力システム改革における市場と政策の研究
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概要

本稿では、日本卸電力取引所(JEPX)の前日市場で取引される48の30分間時間帯ごとの電力約定価格と電力取引量に関する2005年8月から2015年3月までのデータを分析した。取引所で公開されているこのデータだけから、金融経済的な非流動性を表すAmihudの価格インパクト指標とRollの暗黙取引費用指標を構成することが可能である点、また、これら指標が電力市場の非流動性分析にも有意義である点を論証した。実証上の技術的な貢献としては、1週間内の全ての30分間時間帯を横断面と見做し、それらの全標本期間にわたる記録を時系列面とみなすことで、本データをパネルデータとして再解釈可能であることを示し、動学パネル回帰分析の手法の適用を正当化した。これらの手法を基に、上記の非流動性尺度、より古典的な電力市場流動性指標としての取引ボリューム、各時間帯特有の標準誤差リスク、および価格変化率の相互関係を分析した結果、JEPXの非流動性に関して、以下の4点が示唆された:(a) 価格インパクト指標と取引量は直感的な負の相関を示している、(b) 価格インパクト指標が価格変化率に与える影響は暗黙取引費用指標よりも強い、(c) 取引量が増大しても暗黙取引費用指標を引き下げる効果が認められない、および(d) 東日本大震災前にはJEPX前日市場で観測されていたリスクとしての非流動性指標とリターンとしての価格変化率の有意な正相関が震災後は消え去り、取引量のみが価格変化率を有意に説明する要因となっている。

概要(英語)

Historical data of system prices and traded volume of electric power over the 48 half-hour intra-daily intervals in the Japan Electric Power Exchange (JEPX) from August 2005 to March 2015 are analyzed. The data allow computation of two representative measures of economic illiquidity, namely, Amihud's price-impact measure and Roll's implied spread cost measure. Based on a dynamic panel regression framework allowed by a panel reinterpretation of the data, I establish that (a) these illiquidity measures comove to some extent, (b) a positive contribution of the price-impact measure to returns is stronger than that of the spread cost, (c) a higher traded volume of electric power does not lower the spread cost, and (d) a great earthquake might disturb the risk-return tradeoff.