執筆者 |
伊藤 萬里 (研究員) /冨浦 英一 (ファカルティフェロー) /若杉 隆平 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2011年5月 11-E-052 |
研究プロジェクト | 日本企業の海外アウトソーシングに関する研究 |
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概要
企業の外部委託による調達活動は国際競争力を高める手段としてその重要性を増している。こうした外部委託による調達活動には大きく分けて2つの意志決定を伴う。1つは国内あるいは海外のどちらのサプライヤーを選択するかという問題であり、いま1つは資本関係を持つグループ内企業から調達するかあるいは資本関係を持たない企業から調達するかという問題である。本稿では、日本企業のデータを利用して、外部委託モードの選択と企業の研究開発(R&D)レベルとの関係を実証的に明らかにしている。離散選択モデルの推計から、海外への業務委託はR&D集中度が高い企業ほど盛んであることが判明した。さらに、こうしたR&D集約的な企業は業務の委託先として海外のグループ子会社を選択する傾向が強く見られた。たとえ企業外への業務委託を選択しても、特許権によって自社の技術知識が保護されるならば技術流出の問題は緩和されるとも考えられるが、この内部化の傾向は特許保有企業であるほど強く見られた。
概要(英語)
This paper empirically examines the effects of knowledge capital on offshore outsourcing choices based on original survey data of Japanese firms. The results of a multinomial logit model demonstrate that firms' offshoring is positively correlated with knowledge capital measured by their R&D activities or patenting, even after controlling for other firm characteristics including productivity, capital intensity, firm age, and export status. Further, knowledge-intensive firms are more inclined to choose foreign insourcing rather than outsourcing, suggesting that firms tend to internalize their technological knowledge in offshore sourcing.