執筆者 | 相樂希美 (研究員) |
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発行日/NO. | 2004年4月 vol.3 |
概要
WTO設立など多角的通商システムに画期的な成果をもたらしたウルグアイ・ラウンド終結から早10年が経過した。新たな交渉ラウンド「ドーハ開発アジェンダ」が開始されたものの、2003年9月に開催された第5回WTOカンクン閣僚会合は成果なく決裂した。地域経済協定の締結が顕著な伸びを見せる一方で、WTOでの新たなルール作りは機運を欠いており、その背景には途上国と先進国の対立がある。特に、WTOの下で新たに国際投資協定を締結するか否かが一つの焦点となっている。そこで本レポートでは、WTOにおける投資協定の締結に反対する途上国やNGOの主張等幅広い論点を検証・分析し、途上国利益の視点からWTO投資協定のあるべき姿と今後の課題に迫っている。
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- 第1章 はじめに:なぜ「投資協定」を検討することが重要か?
- 第2章 海外直接投資の経済的側面
- 第3章 ガット/WTO体制下での検討経緯
- 第4章 主要国の二国間投資協定と地域取組みの動き
- 第5章 投資を巡る国際取極めの発展
- 第6章 投資のコンテクストで見たGATSとTRIMs
- 第7章 途上国と投資協定
- 第8章 おわりに
- 参考文献
- 図2.1 FDI流出額(2002年)
- 図2.2 FDI流入額(2002年)
- 表2.3 途上国のFDI流入額トップ30ヶ国・地域(2002年)
- 表2.4 海外直接投資ストックの推移による比較
- 表3.1 ガット/WTO体制下での検討経緯
- 表4.1 LDCsの二国間投資協定(BITs)締結状況
- 表4.2 主要国の二国間投資協定の締結と地域取組みの動き
- 表5.1 OECD多国間投資協定(MAI)の教訓
- 表5.2 投資に関する多角的(及び地域的)政府間取決めの経緯
- 表5.3 投資に関する主要な国際取決めの主な要素比較
- 附属資料1: OECD多国間投資協定(MAI)の経験
- 附属資料2: WTO閣僚宣言(投資関連部分)
- (1) 第1回WTOシンガポール閣僚宣言
- (2) 第4回WTOドーハ閣僚宣言
- 附属資料3: 既存の投資関連国際協定の項目リスト
- (1) OECD資本移動自由化規約項目リスト
- (2) OECD経常的貿易外取引自由化規約項目リスト
- (3) OECD国際投資と多国籍企業に関する宣言、行動指針、閣僚理事会諸決定項目リスト
- (4) OECD・MAI最終ドラフト項目リスト
- (5) 国連多国籍企業行動規範案ドラフト項目リスト
- (6) 世界銀行/IMF外国直接投資の待遇に関するガイドライン項目リスト
- (7) APEC非拘束的投資原則項目リスト
- (8) エネルギー憲章条約投資関連条項リスト