著者からひとこと

「モジュール化」対「すり合わせ」―日本の産業構造のゆくえ

「モジュール化」対「すり合わせ」―日本の産業構造のゆくえ

「モジュール化」対「すり合わせ」―日本の産業構造のゆくえ

    編著:中田 行彦、安藤 晴彦、柴田 友厚

編著者による紹介文

アーキテクチャ戦略実践検討に役立つ一冊

2001年のRIETI創設シンポジウムのカンファランスボリュームとして『モジュール化 新しい産業アーキテクチャの本質』(東洋経済新報社)を上梓しました。その後の動向や、燃料電池、新エネルギー、科学技術イノベーション政策、知財戦略といった政策応用の実践経験を含め、第3章「『モジュール化』とグローバル・ネットワークの発展・深化が産業構造と政策に与える影響について」をまとめています。昨年から始めた、一橋大学・RIETI主催の「資源エネルギー政策サロン」のエッセンスも取り入れています(http://www.hit-u.ac.jp/kenkyu/ias/sigen/event.html)。

世界のものづくり研究の最高峰である中馬宏之先生には、『モジュール化』にご寄稿いただきましたが、本書でも第4章「モジュール・システムアーキテクチャとしてのトヨタ生産方式:半導体産業の事例から」をご寄稿いただいています。アーキテクチャに関する最先端研究の成果が強い輝きを放っています。モジュール化が進化生物学と親和性があり、また、トヨタ生産方式とも非常に近いというご分析は本当にご慧眼だと感じます。

中田行彦先生は、日本が世界をリードしてきた液晶産業の中核技術者としてご活躍され、その後、立命館アジア太平洋大学で教鞭をとられています。小生が主宰したRIETIのシリコンバレー研究会でご指導いただき、その後もRIETIディスカッションペーパー『液晶産業における日本の競争力―低下原因の分析と「コアナショナル経営」の提案―』(2007年04月07-J-017)をまとめられ、直近では、『シャープ「液晶敗戦」の教訓』が話題作になっています。

本書は、中田先生からのお薦めがあり、柴田友厚先生も加えた共同研究プロジェクトの中で書かせていただいたものです。アーキテクチャ戦略実践検討の素材にしていただければ光栄です。もちろん政策立案でもご活用ください。

著者(編著者)紹介