プログラム:人的資本

賃金格差と産業ダイナミクスの関係

プロジェクトリーダー/サブリーダー

神林 龍顔写真

神林 龍 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

本研究は、日本で進行している賃金格差の動向をまとめ、企業活動の浮沈との関連を調べることにある。先進諸国では、米国やカナダなど主要国において時間あたり賃金の格差が拡大する傾向にある。そして、その大きな部分は、同一属性をもっているにも関わらず勤める企業によって被用者の時間あたりの賃金に差が生まれるという、「企業間賃金格差」の拡大に起因することがわかってきた。本研究の第一の目標は、厚生労働省『賃金構造基本統計調査』などをもとに、日本における賃金格差の動向について、入手可能な最新の年まで考察対象を拡大して要約することに設定する。またその際、経済産業省『企業活動基本調査』との企業レベルでのマッチングを行い、労働生産性や全要素生産性などで表現される企業間生産性格差と企業間賃金格差の動向の関係を分析する。とくに、生産性が下がった企業が退出せずに市場で操業を続けることが、賃金格差にどのように影響を与えるかについても考察する。他方の企業の参入についての分析を、本研究の第二の目標として設定する。本研究では、開業時の企業組織に焦点をあて、十分な「マネジメント構造」をもっていないことが生産性上昇の足枷になっているのではないかという仮説を検証するために、開業時からの3年程度のパネル調査を実施することで、よいマネジメント構造をもっている企業が成長するのか、成長した企業がよいマネジメント構造を達成するのかを検討する。本研究は、労働市場のあり方と企業の参入・退出ダイナミクスを総合的にとらえることによって、日本経済の構造に対するインプリケーションを引き出すことを最終的な目標とする。

プロジェクト期間: 2022年2月 1日 〜 2024年7月31日

(上記プロジェクト期間のうち、研究活動期間は2022年2月1日 〜 2024年1月31日とし、データ利用報告期間は2024年2月1日 〜 2024年7月31日とする)

主要成果物

2023年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー