プロジェクト概要
東日本大震災がもたらした事実を受け止めて、リスクに強い持続可能な地域を作り上げて行く方向性を考え、次の2つの視点で研究を進めていく。1つは、大震災というカタストロフィの後の復旧から復興の過程で、東北地方を中心とした我が国の地域産業構造や地域経済システムは、どのように変貌するのかという将来予測的な面からの分析と考察である。もう1つは、どのような産業集積や地域(間)の産業連関構造が、地域自立と持続可能をもたらすか、また今後の日本にとって望ましいかという規範的な側面からの分析と考察である。
持続可能な地域経済とは、地域がその地域資源を有効に活用した財・サービスを生み出し、それを移出することで域内に資金を呼び込み、また獲得した資金が域内で循環することで資金の流出を防ぐといった自立した地域経済システムが持続することである。リスクに強くなるとは、個々の地域がこういった状況になっていくことである。
第1のアプローチでは、地域経済の状況を検証しつつ、我が国を広域ブロックに分けた複数の経済圏の動向に関して、震災後の経済システムを一定の規範的基準に基づいたポジティブなシミュレーション分析を実施する。これによって、都市規模分布を含む経済圏域間の役割分担の方向性や望ましい地域経済システムに導くにはどのような政策手段が考えられるかを考察する。第2のアプローチでは、第1のアプローチに規範的な基準を導入することによって、地域経済の姿を定量的に記述する。そして、その基準を満たす経済システムに近づくための諸条件を導出し、そこから政策的インプリケーションを提示することになる。
プロジェクト期間: 2011年7月12日 〜 2013年6月30日
主要成果物
2013年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
2012年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 12-E-082
"Empirical Analysis of Agglomeration Economies in Japanese Assembly-type Manufacturing Industry for 1985-2000: Using a flexible translog production function" (TOKUNAGA Suminori, KAGEYAMA Masahiro, AKUNE Yuko and NAKAMURA Ryohei) - 12-J-024
「日本大震災の被災地域への負の供給ショックと復興の経済波及効果に関する乗数分析-2地域間SAMを用いて-」 (沖山 充、徳永 澄憲、阿久根 優子)