開催案内
脱炭素化は、自動車業界を始め経済・産業の構造転換を迫ることになるため、国際競争を踏まえた経済安全保障の観点から経済への壊滅的な打撃を回避し、新たな産業構造を形作るゼロカーボノミクス(脱炭素経済)の発想が必要である。
脱炭素は、洋上風力、水素など巨大エネルギー技術で捉えられることも多いが、日本には多様な脱炭素技術の芽が眠っており、潜在的な技術を生かしていくには「エネルギー需要起点(デマンド・ドリブン)の脱炭素」が有効となる。
オイルショック後の省エネは、エネルギー会社のみならず、「エネルギー需要家」である製造業が支えてきた面があり、日本は脱炭素でも製造業を総動員したアプローチが可能である。この動きの中でまず重要なのは自動車産業の電機産業化の動きである。自動車の電動化は当然進んでいくが、その動きをドライブするための電力システムと自動車の連携による産業創造が1つの論点となる。電機産業化に伴う半導体、材料などの技術開発も重要なポイントで、どのような企業がオープンイノベーションをどのように進めるかが論点となる。
一方で、脱炭素投資を社会価値につなげるフレームワークがEVなど単体製品に留まらない日本の強みを生み出す。「エネルギー需要家」の脱炭素技術を生かしていくには、イノベーションを促す政策が必要となる。東日本大震災以降に強化された電力・ガス自由化は1990年代に始まった「コスト主導の自由化」であり、これを起点に新たな脱炭素投資は生まれない。エネルギー需要を起点にした分散型エネルギーシステムに向けて「イノベーション主導の自由化」へと発想を転換する必要がある。
イノベーションを起こすには資金の流れをどう生み出すかも重要な論点である。脱炭素社会を目指したサステナブルファイナンスの視点から民間資金をどう誘導するかを具体化することが求められる。
本ウェビナーではこれらを踏まえデマンド・ドリブンの脱炭素の課題と方向性を議論する。
イベント概要
- 日時:2022年3月15日(火)12:15-13:45
- 開催方法:オンライン配信
- 言語:日本語
- 参加費:無料
- 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)、株式会社日本総合研究所(JRI)
- お問合せ:経済産業研究所 武川
E-mailアドレス ※「メーラで送信」が起動しない場合は、お手数ですがフォームの文字列をコピーして@でつなげてください。
プログラム
講師略歴 [PDF:320KB]
開会挨拶
矢野 誠(RIETI理事長 / 京都大学経済研究所特任教授 / 上智大学特任教授)
問題提起「エネルギー需要起点の脱炭素」
瀧口 信一郎(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト)
パネルディスカッション
パネリスト(敬称略、登壇順)
「インベンションからのクリエーション&ソリューションを提示する炭素循環プラットフォーム」
木村 俊作(京都大学産官学連携本部副本部長 / 京都大学オープンイノベーション機構 副機構長)
「日本の脱炭素モビリティ」
和田 憲一郎(日本電動化研究所代表取締役)
「金融機関の考えるゼロカーボンファイナンス」
金井 司(三井住友信託銀行 経営企画部 フェロー役員、チーフ・サステナビリティ・オフィサー)
瀧口 信一郎(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト)
モデレータ
渡辺 哲也(RIETI副所長)
*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承ください。