開催案内
2008年7月より施行された改正最低賃金法においては地域別最低賃金の決定に当たり生活保護額との整合性を考慮することが求められるようになった(最賃法9条3)。その結果、特定の地域において最低賃金額は速いペースで上昇しつつある。これに対しては、賃金格差を縮小させ、格差の是正に貢献する政策として評価する向きもあるが、中小企業の賃金支払い能力を超える賃金負担を発生させ、それら企業の廃業、新規開業の抑制を通じて雇用の削減をもたらしてしまうと懸念する向きもある。新法の施行から3年がたち、最低賃金の雇用への影響を総合的に評価するべき時期に来ているといえる。
以上のような背景のもと、本ワークショップでは最低賃金が労働者の賃金、雇用、企業パフォーマンスなどに与える影響及び最低賃金政策と生活保護等の貧困対策のあり方について報告を行うとともに今後のあるべき最低賃金政策の姿について政策担当者も交えて意見交換を行うこととする。イベント概要
- 日時:2012年9月11日(火)10:20-17:45
- 会場:経済産業研究所国際セミナー室(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 経済産業省別館11階1121)
配付資料
開会のあいさつ
第1部
報告「最低賃金の労働市場・経済への影響 - 諸外国の研究から得られる鳥瞰図的な視点-」
鶴 光太郎 (RIETIプログラムディレクター・ファカルティフェロー / 慶應義塾大学大学院商学研究科教授)
報告「最低賃金と雇用:2007年最低賃金法改正の影響」
森 悠子 (日本学術振興会特別研究員)
ディスカッション
第2部
報告 "How do Firms Respond to an Increase in Minimum Wage? Direct Evidence on Firm's Internal Adjustment"
奥平 寛子 (岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授)
大竹 文雄 (大阪大学社会経済研究所教授)
滝澤 美帆 (東洋大学経済学部准教授)
鶴 光太郎 (RIETIプログラムディレクター・ファカルティフェロー / 慶應義塾大学大学院商学研究科教授)
報告「最低賃金と地域間格差―実質賃金と企業収益の分析」
森川 正之 (RIETI理事・副所長)
ディスカッション
第3部
報告「最低賃金と労働者の『やる気』」
森 知晴 (大阪大学大学院博士課程 / 日本学術振興会特別研究員)
報告「最低賃金の決定過程と生活保護水準との関係」
玉田 桂子 (福岡大学経済学部経済学科教授)
森 知晴 (大阪大学大学院博士課程 / 日本学術振興会特別研究員)
報告「最低賃金と貧困対策」
大竹 文雄 (大阪大学社会経済研究所教授)
ディスカッション
第4部
コメント及び報告
有賀 健 (京都大学経済研究所教授)
コメント及び報告
橘木 俊詔 (同志社大学経済学部教授)
討議のための整理
モデレータ:川口 大司 (RIETIファカルティフェロー / 一橋大学大学院経済学研究科准教授)