開催案内
2008年秋から深まった世界的金融・経済危機から3年目を迎え、日本経済もようやく立ち直りかけた矢先に東日本大震災が発生するとともに、原発・電力危機や急激な円高の進行が追い打ちをかけ、日本経済の空洞化が大いに懸念されております。このような複合的な危機に対処しながら引き続き大震災からの着実な復旧・復興が急務となっております。
しかしながら、この大震災の前後で日本が未来に向けて取り組まなければならない構造的課題はなんら変わっておりません。経済産業研究所では過去数次に渡り、日本経済にとって最重要課題の1つである雇用・労働問題を扱った政策シンポジウムを開催してきましたが、今回は、労働者の人的資本形成やインセンティブと密接な関係にある賃金・処遇問題に焦点を当てます。デフレ経済が長引く中で景気が回復しても労働者への成果配分が十分でないのではという指摘がある中、特に、正規労働者と非正規労働者の処遇格差への対応が吃緊の政策課題となっております。また、正規労働者の処遇についても、従来の日本的雇用システムが変容する中で賃金の後払い傾向(年功賃金の性格)が弱まる一方、行き過ぎた成果主義への反動もあり、処遇の多様化に向けた過渡期にあります。
以上のような問題意識の下、本政策シンポジウムは、第1部で、経済学・経営学の立場から賃金・処遇問題にアプローチします。まず、その問題の所在と対応についての鳥瞰図を示した後、賃金からみた日本の雇用システムの変容、処遇と対応する賃金プレミアムの関係、成果主義を超えた処遇のあり方などについて報告・議論を行います。第2部では、法学の立場から非正規労働者の均衡処遇とそれに向けた労使関係のあり方について報告を行い、政府の検討状況を含め議論します。第3部では、学界、企業、労働者を代表する有識者にお集まりいただき、大震災以降の雇用情勢と政策対応などについてパネル・ディスカッションを行います。
イベント概要
- 日時:2011年12月2日(金)10:00-18:05
- 会場:イイノホール&カンファレンスセンター RoomA (東京都千代田区内幸町2-1-1)
- 開催言語:日本語
- 参加費:2000円(学生証提示の場合は 1000円)[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
- 主催:独立行政法人経済産業研究所
- お問合せ:RIETI 丸竹 公子 Tel: 03-3501-8398、Fax: 03-3501-8416
※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。
プログラム
10:00 - 10:05 開会挨拶
中島 厚志 (RIETI理事長)
10:05 - 10:45 報告(総論)
鶴 光太郎 (RIETI上席研究員)
10:45 - 12:35 第1部:賃金と処遇(経済・経営学からのアプローチ)
10:45 - 11:25 報告「賃金からみた日本的雇用システムの変容」
川口 大司 (RIETIファカルティフェロー / 一橋大学大学院経済学研究科准教授)
11:25 - 12:05 報告「ワークライフバランスに対する賃金プレミアムの検証」
山本 勲 (慶應義塾大学商学部准教授)
12:05 - 12:35 Q&A
12:35 - 13:30 ランチブレイク
13:30 - 15:10 第2部:均衡処遇と労使関係(法学からのアプローチ)
13:30 - 14:00 報告「正規・非正規労働者格差是正のための法原則のあり方」
水町 勇一郎 (東京大学社会科学研究所教授)
14:00 - 14:30 報告「非正規労働者の処遇を巡る立法動向について」
竹内(奥野)寿 (立教大学法学部准教授)
14:30 - 14:50 コメントおよび報告
島田 陽一 (早稲田大学法学部法務研究科教授)
14:50 - 15:10 Q&A
15:10 - 15:30 コーヒーブレイク
15:30 - 18:00 第3部:パネル・ディスカッション「大震災後の雇用・労働政策のあり方」
15:30 - 15:45 報告「被災地の雇用の現状と雇用対策」
藤澤 勝博 (厚労省職業安定局雇用政策課長)
モデレータ
樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)
パネリスト(五十音順)
大竹 文雄 (大阪大学社会経済研究所教授)
荻野 勝彦 (トヨタ自動車株式会社渉外部第2渉外室主査)
長谷川 裕子 (連合参与 / 中央労働委員会委員・全国労働委員会労働者側委員連絡協議会事務局長)
17:30 - 18:00 Q&A
18:00 - 18:05 閉会挨拶
森川 正之 (RIETI副所長)
18:05 - 19:05 交流会
*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。