政策シンポジウム他

グローバル都市の盛衰-東京圏、日本、そしてアジアにとっての含意

開催案内

ヒト、モノ、カネ、情報が、自由に国境を超え移動する今日の第二次グローバリゼーションの時代、東アジア全体が「世界の工場」としての地位を揺るぎないものとしつつあり、この地域の世界貿易・世界経済における重要性が急速な高まりを見せています。こうした目覚しい経済成長の中で、それと並行して、アジアにおいては大都市の集積が着実な成長を遂げてきています。都市集積の重要な点は、都市が「イノベーションの基地あるいは揺りかご」としての役割を果たしていることです。こうした都市集積の成長の背景には広義の規模の経済が存在し、それはポジティヴ・フィードバックをもたらします。そこでは、最初はほんの少ししかなかった差が時間の経過とともに加速度的に拡大し、格差が逆転しないというロックイン現象が起こります。その例のひとつは、東京と大阪のこの数十年の変化でしょう。高度成長期まで、東京と大阪は日本の二大中心地、トゥイン・ピークスでしたが、今日では、このニ大都市圏の間には大きな格差が存在するに至っています。

それでは、アジアを代表するワールド・シティである「東京圏」の現在のポジショニングは、21世紀を通じて不変のものなのでしょうか。実際、上述のメカニズムは「広義の輸送費」の低下によってさらに加速化される場合があり、また、グローバリゼーションは、この「広義の輸送費」を低下させる特徴があります。これらの事実を念頭に置いた場合、上海等との関係において、東京圏がこの数十年間の大阪圏と同様の状況に遭遇することは決して「あり得ない」と言い切れるでしょうか。

以上の通りの問題意識をもって、日本の都市、特に東京圏の役割をこのシンポジウムでは捉えます。日本国内における東京圏の特殊性を検証した上で、その他の中核都市との関係を探ります。具体的には、「東京圏はアジアのコア都市になるのか、または複数のコアのひとつになるのか」、「東京圏の活性化は日本全体にとっても必要なことではないか」、「都市基盤(ハードのみならず、社会経済制度を含むソフトインフラの双方)が都市集積、産業集積にどのような影響を与えるか」、「都市および産業集積から生じるイノベーション効果は特にどの地域(あるいはどのような特性を持った地域)に作用するのか」等の論点について、世界的な有識者の参加を得て、活発なディスカッションを行います。

イベント概要

  • 日時:2005年3月18日(金) 9:00-18:00
  • 会場:国際連合大学ウ・タント国際会議場(東京都渋谷区)
  • 開催言語:英語⇔日本語(同時通訳あり)
  • 参加費:3000円[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
    (当日受付にて学生証提示の方は1000円)
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所
  • お問合せ:RIETI 片桐由紀 Tel:03-3501-8398

※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム

総合司会:久武 昌人 (RIETI上席研究員)

9:00-9:05 開会挨拶

吉冨 勝 (RIETI所長・CRO)

9:05-10:35 セッション1:「World City の盛衰」

論文発表

アレン・J・スコット (カリフォルニア大学教授)

サスキア・サッセン (シカゴ大学社会学部教授 / ロンドンスクール・オブ・エコノミクス客員教授)

久武 昌人 (RIETI上席研究員)

10:35-10:45 休憩(コーヒーブレイク)

10:45-12:30 セッション2:「東京圏は日本の単一の中心となるか、ほかの都市もコアとなりうるか」

セッションチェア:久武 昌人 (RIETI上席研究員)

論文発表

八田 達夫 (RIETIファカルティフェロー・研究主幹 / 国際基督教大学国際関係学科教授)

金本 良嗣 (RIETIファカルティフェロー / 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授)

コメント

高橋 武秀 (経済産業省関東経済産業局長)

ディスカッション・質疑応答

12:30-13:45 昼食交流会(立食形式):国際連合大学2Fレセプションホール

13:45-15:55 セッション3:「ハード・ソフト両面での都市基盤開発の役割」

セッションチェア:根津 利三郎 (RIETI理事 / 富士通総研専務取締役)

論文発表

川口 有一郎 (早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

日下部 聡 (経済産業省経済産業政策局産業組織課長)

ラルフ・チャウ (香港貿易發展局首席駐日代表)

コメント

青山 やすし (明治大学公共政策大学院教授 / 元東京都副知事)

齋藤 旬 ((株)ニコン コアテクノロジーセンター技術戦略部技術戦略課主幹研究員 / 東京大学先端科学技術研究センター客員研究員)

質疑応答

15:55-16:05 休憩(コーヒーブレイク)

16:05-17:55 セッション4:パネルディスカッション「東京圏、日本、及びアジアにとっての含意」

セッションチェア:久武 昌人 (RIETI上席研究員)

パネリスト

青山 やすし (明治大学公共政策大学院教授 / 元東京都副知事)

金本 良嗣 (RIETIファカルティフェロー / 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授)

サスキア・サッセン (シカゴ大学社会学部教授 / ロンドンスクール・オブ・エコノミクス客員教授)

アレン・J・スコット (カリフォルニア大学教授)

質疑応答

17:55-18:00 閉会挨拶

岡松 壯三郎 (RIETI理事長)

*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。

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