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CIPデータベース2023

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CIP4.0データベース

経済産業研究所（RIETI）の「産業・企業生産性向上」プログラムの「東アジア産業生産性」プロジェクトでは北京大学Growth Lab、一橋大学経済研究所と協力して、中国の経済成長と産業構造変化を分析するための基礎資料である、中国産業生産性データベース（China Industrial Productivity Database、以下ではCIPと略記）の改訂と更新を進めてきた。今回このウェブ・ページで公開するのは、中国産業生産性（CIP）データベース2023（CIP 4.0）である。これはCIPデータベース2015（CIP 3.0）以降に入手可能となった新しいデータと、CIP 3.0で未解決だったデータ問題の処理に用いた新しい手法により、CIP 3.0を大幅に改訂したものである。CIP 4.0データベースの特徴と主な改訂点を簡単に紹介する。

まず、CIP 4.0の時系列は1980年から2010年までのCIP 3.0の時系列をそのまま延長したものではなく、1987年から2017年までの期間をカバーしている。これは、中国の1987年と2017年の2つのSNA型完全投入産出表を使用し、入手可能な最良の投入産出構造に限定して時系列を構築するためである。CIP 3.0で行ったように、2つの投入産出の範囲を超えて系列を延長しない理由は、Wu et al. (2023 forthcoming)において説明している。

第二に、CIP 4.0は、中国投入産出時系列の構築において、1987年以来5年ごとに入手可能な完全投入産出表の間に公表されているいわゆる縮小投入産出表を使用していない。その理由はわずか１、２年の間に不合理な急激な構造変化があったからである（Wu and Li, 2023 forthcoming参照）。

第三に、CIP 4.0は、正規経済部門内外の2つの未分類残差の新たな取り扱い方法を通じて、サービス部門間の労働雇用データの配分を大幅に修正し、それゆえ、非物質的サービス（金融サービスなど）に比べて物質的サービス（例えば、輸送など、財生産に直接接続または拡張するサービスと定義される）の不合理な急激な減少の問題を解決した。（CIP4.0には含まれていない）企業所有制別の労働と関連する報酬に関する情報が改訂に使用されている（Wu and Zhang, 2023 forthcoming参照）。

第四に、CIP4.0は、CIPの投資総額と中国投入産出表が示す総固定資本形成（Gross Fixed Capital Formation：GFCF）との間のデータギャップをCIP37部門に分配する新たな試みによって、資本データを大幅に改訂した。企業所有制別の投資に関する情報（CIP4.0には含まれていない）と仮定が改訂に使用されている。これは、部門別の資本ストックと資本投入の推計に大きな影響を与えた（Wu and Liang, 2023 forthcoming参照）。

第五に、CIP4.0のデータを用いた成長会計の結果は、中国の総成長と生産性パフォーマンスの産業源泉について提供されているが、様々な仮定に基づいて必然的に分解される要素種類別の寄与ではなく、要素投入の一般的な寄与を示すために、資産と労働種類別の寄与は含まれていない（Wu et al. 2023 forthcoming参照）。

CIP4.0のためのテクニカルペーパー

  • Wu, Harry X. and Zhan Li. 2021. “Reassessing China’s GDP Growth Performance: An Exploration of the Underestimated Price Effect”, RIETI Discussion Papers, 21-E-018, 2021 (RIETI: Research Institute for Economy, Trade and Industry, Japan)
  • Wu, Harry X. and Zhan Li. 2023 (forthcoming). Construction of China’s National Input-Output Tables in Time Series 1978-2018.
  • Wu, Harry X., Zhan Li, David T. Liang, Guang Zhang and Huimin Zhu. 2023 (forthcoming). Accounting for China’s Growth and Productivity Performance in 1978-2018: An Introduction to the CIP 4.0 Database.
  • Wu, Harry X. and Guang Zhang. 2023 (forthcoming). Measuring Labor Input in the Post-Reform Chinese Economy, 1978-2018.
  • Wu, Harry X. and David T. Liang. 2023 (forthcoming). Measuring Capital Input in the Post-Reform Chinese Economy, 1978-2018.

CIPプロジェクト

CIPデータベースは2010年に伍 暁鷹教授によって開始された。それ以来2019年まで、経済産業研究所（RIETI）の「東アジア産業生産性データベース」プロジェクトと一橋大学経済研究所（IER）による共同研究であった。2019年末に伍教授が北京大学に移籍した後は、基本的に以前のRIETI-IER/一橋大学共同研究を発展させ、北京大学Growth Lab、一橋大学経済研究所とRIETIの共同研究となっている。

CIP研究チーム

  • 伍 暁鷹（北京大学）（チームリーダー）
  • 深尾 京司（一橋大学）
  • 乾 友彦（学習院大学）
  • 岳 希明（中国人民大学）
  • 李 展（安徽師範大学）
  • 梁 涛（ジェトロ・アジア経済研究所）
  • 張 光（香港科技大学）
  • 朱 慧敏（RIETI、2023年3月19日まで）

リサーチアシスタント

  • 葦沢 玲子（一橋大学）
  • 呉 紫薇（北京大学）

謝辞

CIPプロジェクト、特にCIP4.0の構築にあたり、CIPデータ作業のレビューにおいて批判的なコメントや建設的な示唆をいただいた以下の方々に感謝の意を表したい（アルファベット順）：

  • Mun Sing Ho（ハーバード大学）
  • Jiemin Guo（アメリカ合衆国商務省経済分析局）
  • 孟 渤（ジェトロ・アジア経済研究所）

データ・ダウンロード

1. 投入産出表

  1. 23年12月21日更新

    1.1 1987-2017年の投入産出表（産業×産業、名目値、単位：百万元）　[ XLSX:630KB ]

  2. 23年12月21日更新

    1.2 部門別名目付加価値（単位：百万元）　[ XLSX:26KB ]

  3. 23年12月21日更新

    1.3 部門別名目産出（単位：百万元）　[ XLSX:27KB ]

  4. 23年12月21日更新

    1.4 名目付加価値の分解（単位：百万元）： 　[ XLSX:40KB ]

    1. 1.4.1 資本報酬
    2. 1.4.2 労働報酬

  5. 23年12月21日更新

    1.5 部門別最終需要（単位：百万元） 　[ XLSX:78KB ]

    1. 1.5.1 消費
    2. 1.5.2 資本形成
    3. 1.5.3 輸出
    4. 1.5.4 輸入

  6. 23年12月21日更新

    1.6 部門別生産者物価指数、前年価格＝100　[ XLSX:22KB ]

2. 資本投入データ

  1. 23年12月21日更新

    2.1 部門別名目投資フロー（単位：百万元）　[ XLSX:28KB ]

  2. 23年12月21日更新

    2.2 部門別実質純資本ストック（単位：百万元、2000年価格）　[ XLSX:28KB ]

  3. 23年12月21日更新

    2.3 部門別資本投入指数（2000年=1.000）　[ XLSX:27KB ]

3. 労働投入データ

  1. 23年12月21日更新

    3.1 部門別従業者数（単位：1000人）　[ XLSX:25KB ]

  2. 23年12月21日更新

    3.2 部門別労働時間（単位：百万時間）　[ XLSX:22KB ]

  3. 23年12月21日更新

    3.3 部門別労働投入指数（2000年＝1.000）　[ XLSX:27KB ]

4. 成長会計　[XLSX:1.1MB]

23年12月21日更新

  1. 4.1 実質付加価値成長率の測定：

    1. 4.1.1名目産出（現在価格、百万元）4.1.2 名目中間投入（現在価格、百万元）
    2. 4.1.3 名目付加価値（現在価格、百万元）
    3. 4.1.4 実質産出成長率
    4. 4.1.5 実質中間投入成長率
    5. 4.1.6 実質付加価値成長率

  2. 4.2 資本投入成長率の測定：

    1. 4.2.1 名目資本報酬（現在価格、百万元）
    2. 4.2.2 資本投入指数（ディビジア指数、2000年＝1.000）
    3. 4.2.3 実質資本ストック指数（2000年＝1.000）
    4. 4.2.4 資本の質指数（2000年=1.000）

  3. 4.3 労働投入成長率の測定：

    1. 4.3.1 名目労働報酬（現在価格、百万元）
    2. 4.3.2 労働投入指数（ディビジア指数、2000年=1.000）
    3. 4.3.3 総労働時間指数（2000年＝1.000）
    4. 4.3.4 労働の質指数（2000年＝1.000）

  4. 4.4 成長会計（産出ベース）：

    1. 4.4.1 産出ベース中間投入の寄与
    2. 4.4.2 産出ベース資本ストックの寄与
    3. 4.4.3 産出ベース資本の質の寄与
    4. 4.4.4 産出ベース総労働時間の寄与
    5. 4.4.5 産出ベース労働の質の寄与
    6. 4.4.6 産出ベースTFP 成長率

  5. 4.5 成長会計（付加価値ベース）：

    1. 4.5.1 付加価値ベース資本ストックの寄与
    2. 4.5.2 付加価値ベース資本の質の寄与
    3. 4.5.3 付加価値ベース総労働時間の寄与
    4. 4.5.4 付加価値ベース労働の質の寄与
    5. 4.5.5 付加価値ベースTFP成長率

  6. 4.6 労働生産性の測定（付加価値ベース）：

    1. 4.6.1 労働生産性上昇率（付加価値/労働時間）
    2. 4.6.2 付加価値ベース総労働時間当たりの資本投入の寄与（資本の深化）
    3. 4.6.3付加価値ベース 労働の質の寄与
    4. 4.6.4 付加価値ベースTFP 成長率

5. 産業コード対応表

  1. 23年12月21日更新

    CIPの分類と中国国民経済計算およびEU-KLEMSの分類との対応表　[ XLSX:12KB ]

伍 暁鷹

データのご利用にあたって

データをご利用の際は、出所として、経済産業研究所・一橋大学・北京大学Growth Lab CIPデータベース2023を利用した旨、明記して頂くようお願いします。

お問い合わせ
一橋大学経済研究所JIPデータベース室
E-mail : jip-info@ier.hit-u.ac.jp