政策効果を測定すること:投稿意見

小西 葉子
研究員

資本市場の閉鎖性の影響も検証を

上席研究員 小野 五郎

政策効果に対する基本的な考え方は、教科書的であるがゆえに、そのとおりだと思う。ただし、政策評価の現状における最大の問題点は、一見理屈の上では精緻に見えるやり方でも、評価結果の多くは好ましい成果をあげていないということである。

かつて日本評価学会の設立に参画し、また、日本の産業政策の歴史的評価を行なってきた者としては、現行の政策評価学のレベルでは、むしろ政策実務経験豊富な人物が、第三者的立場に徹するという条件下において、直観的に評価した方が精度が高いと言わざるをえない。

なぜそうなるかと言えば、現下の評価手法が計量的手法に偏している上、そこに投入されるべき情報の選定・ウェイト付けが現場経験の無い者によって行なわれ、あるいは、あってもそこに一種の恣意が働いているからだと思われる。また、元より政策評価は最終的には歴史的に正否が判断されるべきものであるが、計量的手法による評価は統計上等の制約から短期的なものとならざるをえないという点にも注意を要する。とはいえ、もちろん政策評価の客観性を担保するため計量的手法そのものを否定するものではないが。

逆から言えば、上で述べた直観も、あくまで単なる山勘ではなく、少なくとも後付け的に再評価してみると理論と整合的であることが多い。この点については、かつて辻村江太郎氏も「ケインズが唱えた理論は正しくなかったが、その豊富な見識が導き出した結論そのものは正しかった」と述べているところである。

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