経済学と情報科学の融合(エコノインフォマティックス)による新たなイノベーション研究の可能性:投稿意見

玉田 俊平太
RIETI研究員

「経済学と情報科学の融合」というよりも「特許と学術論文の相関性」では?

東京都 情報通信総合研究所 岩田祐一

情報科学と経済・経営の双方に(決して強くはないながらも)スタンスを持つ者として、タイトルに期待感を寄せながら内容を拝見しました。
しかしながら内容を拝見すると、実態的には、この意見投稿の標題にも挙げさせていただいたとおり「特許と学術論文の相関性に関する研究」といったところ(より正確に申し上げると「特許に対する学術論文の寄与度に関する研究」)ではないか、という感を受けています。

としたときに、特許の分野なり性質なりによって、その典拠を学術論文に強く求める必要性があるものもあれば、それほど求めなくて良いものもある(ex.ビジネスモデル特許)ということをまずは鑑みる必要があるのではないか、と考えます。
そのうえで、学術論文のもたらす貢献度合い(たとえば、当該特許の基礎的な部分がどの程度学術論文に依拠しているか)を、特許をサンプリングして抜き出して、多面的な手法である程度精査することが必要なのではないか、と思われます。

その結果に基づいて、ポイントを押さえて構築された「サイエンスリンケージを自動的に抽出させるプログラム」であれば、何らかの有意な分析結果なり評価なりを導き出すことが可能かもしれないとは思うのですが、もし安直に、分野別、地域別etc.の分類に沿って、特許における論文引用件数の傾向を導き出すだけであれば、それが有意なものに成り得ない可能性を大いに孕んでいると思います。

本コラムを掲示されてから、しばらく時間がたっておりますので、既に研究が進められているとは思いますが、このような点に留意いただければ幸いと考える次第です。

コメントありがとうございます

研究員 玉田俊平太

御指摘の点、全くその通りだと感じております。
今後、研究を進めるにあたり、ご意見を十分踏まえながら進めて参りたいと思います。
どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

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