インフレ目標論は日本経済破綻のシナリオではないか:投稿意見

藤原 美喜子
客員研究員

いくつか不明瞭な点があります

公務員、私大非常勤講師 堤 雅彦

建設的な議論をしたいと思うテーマですが、コラムの中に幾つか不明瞭な点があり、先ずは確認したいと思います。

1) インフレ目標の責任主体
責任主体は日本銀行ではないか。責任の取り方は総裁の解任で良いので。インフレ目標は業務上の実施目標のようなもので、手段は日銀にお任せ。

2) マクロ経済とインフレ目標
失業率とインフレ率は統計的に逆相関(フィリップスカーブ)。インフレ率を引き上げれば、カーブがシフトしない限り、失業率が低下するのでは。
失業率の高まりがインフレ率要因以外である、すなわち、構造失業率が高まっている点は疑問。技術革新によって労働移動が求められていること、新規労働流入が減少する中で雇用調整力が低下していることは想像できるが、約5~10%程度の需給ギャップがあるというのが一般的な見方ではないか。

3) インフレ目標の達成手段
日銀による国債引受がスタンダードな回答ではないか。ベースマネーに対してマネーストックが伸びていないのは信用乗数の変化(現金保有比率の高まり)によるのでは。しからば、必要なだけ現金を供給しないかぎり、現金の相対価格が上昇するのは当然では? 信用不安が回復すれば、改善するということも言えるが。

4) 財政との関係
インフレ率が高まらないと財政破綻するのは分かるが、逆は良くわからない。

5) マクロ経済の破綻
インフレ目標を掲げ、それを達成しようとすることがマクロの破綻と呼ばれる現象を起こすのか。メカニズムを知りたい。例えば、長期の名目金利は直ぐに上がるのだろうか。不完全雇用状態で実質金利が一定と仮定して良いのだろうか。

以上、コメントさせて頂きます。なお、ゼロ金利が問題だという点は、何故駄目なのかが分かりません。一度ゼロ金利解除をしたときがありましたが、あれが妥当な判断なのでしょうか。

インフレ目標論は日本経済破綻のシナリオではないかについて

東京都 ソフトウェア技術者 新井俊一

ご意見:
筆者の主張には論拠や論拠への参照が充分ではない。私が専門外であるためにわからないのかもしれないが、コラムは非専門家へ向けて書かれているものと考え、いくつかの不明点について問いたい。

金融市場で---生保や年金は構造的運用難に何年も悩まされている。

投資の利率は投資家がリスクにあわせて設定するもので、ゼロ金利政策とは関連がないと思われるが。問題はデフレのために実質金利が高いことでは?

量的緩和政策の結果---モラルハザードを進行させている。

投資家や銀行がリスクの高い企業へ貸し付けを続ける場合、調達金利がどれほど低くても、貸し倒れリスクを負担するのだから、モラルハザードとは直接関連しないのでは。

3)

人件費についてはデフレ経済においての賃金の下方硬直性が失業率を高めるというのが教科書的見解であり、インフレ経済では失業率は改善されるはずである。人件費が高騰する論拠はあるのか?

4)

自民党の支持率低下と本論文の関連は? 政治的にインフレ目標や年金切り下げが難しいことには同意する。高齢者の自殺についてであるが、生活困窮者の救済は社会保障の問題であり、年金や物価とは切り離して考えるべきである。

筆者はインフレ目標論よりか---労働生産性向上に努める方がより効果的だと思う。

これについては論拠がまったく示されていない。不況下の増税は、景気悪化による税収低下をもたらし、さらなる財政悪化を引き起こすことは前回の増税時の記憶に新しいと思われるが。

今回のインフレ目標論は---この人達の預貯金が日本経済再生のために狙われているのかもしれない。

年金生活者の預貯金に負担をもとめることにどんな問題があるのか論拠が明らかでない。増税に比べ、どんな不公平性やデメリットがあるのだろうか。

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