知識国家創造のための場の提供-政策形成過程へのナレッジマネージメントの導入:投稿意見

泉田 裕彦
研究員

「政策形成過程へのナレッジマネージメントの導入」について

日商岩井株式会社IT推進部IT戦略チーム 高本雅嗣

現在、民間企業でナレッジマネジメント推進に携わっていますが、

  1. ビジネス情報は貴重なノウハウであり、シェアすべきでない(またはシェアするインセンティブがない)
  2. 情報を提供してもその活用についてフィードバックがない(「情報提供してもムダ」という諦め感)

等を要因として、組織の中での情報の共有・交換がなかなか進まないという現実があります。

一企業レベルですらそうなのですから、国の政策形成ともなれば、自分の意見が反映されると確信して物申すのは至難の業です。それは、庶民レベルから見て情報交換のステージが巨大過ぎるということと同時に、自分の意見が意思決定機関に届くまでに、あまりにもステップが多すぎる(=介在する人・組織が多すぎる)と感じさせることが大きな原因と言えます。

この点、小泉首相の「らいおんはーと」は、単に「スター(?)と直接メール交換できる」という素朴な楽しみはもちろんですが、一国の総理大臣が、組織を「中抜き」して庶民レベルと直接「対話」する姿勢を示したことで、国民に新しい形の政治参加意識を焚きつけた事実は非常に大きいと思います。

また別のヒントとして、我々の社内でも、上述の理由で自発的な情報発信が困難な一方、「誰かが情報を求めている」あるいは「アイデアが出ず行き詰まっている」ことを知ると、がぜん仲間意識や互助精神が発揮され、情報の提供・交換が一気に進む場合があります。これはある種、日本人の特性によるものかもしれませんが、本気で情報収集を行おうと思えば、収集する側が、必要に応じて「目線」を下げ、真摯に情報や意見を求める姿勢を示すことが肝要なのは間違いないようです。

あらゆる政府決定は究極的には国民が受益者であり、その受益者に対して、政府が専門家や「識者」の言葉使いをそのまま押し付けることなく、極力平易な表現を以って「あなたがたの意見を真剣に求めています」という姿勢を打ち出すことが、有効なナレッジ獲得への第一歩かも知れませんね。

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