RIETI年末年始特集 Part1 フェローが選ぶ重大ニュース'03

りそな・足利銀行に対する公的資金投入

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小林 慶一郎(研究員)

金融・経済分野での2003年の大ニュースといえば、りそなと足利に対する公的資金の投入だろう。これは、金融システムの処理がかなり最終的な局面に入ってきたことを象徴している。

これまでの金融問題を振り返ると分かる。90年代初頭のバブル崩壊後、金融システムは巨額の不良債権を抱え、公的資金投入などによる穴埋めは必至だったわけだが、90年代後半まで不良債権処理は先送りされ、その結果、抜本的な穴埋め(不良債権処理の財源の確保)も先送りされた。90年代後半の金融危機を経て、不良債権処理が加速したが、その財源は、株式の含み益と、逐次投入された公的資金である(公的資金投入は、98年度約10兆円、99年、2000年度それぞれ約5兆円、01年、02年度にそれぞれ約2兆円)。これらの過去の公的資金が、不良債権処理の実質的な財源となる一方、銀行も公的資金以外の財源を捻出するために、無理を続けた。

2001年度は、メガバンク合併によって合併差益が計上され、これが不良債権処理に使われた。しかし、それも1回で枯渇し、2002年度は、主要行合わせて2兆円の増資をすることが必要になった。だが、それも02年度末の不良債権処理で実質的に費消されたものと思われる。そのことを示しているのが、2003年5月のりそなへの公的資金投入と、12月の足利銀行一時国有化である。

ここ数年の処理のおかげで、償却が必要な不良債権の残存高は、10兆円~15兆円程度との見方もある。しかし、一方で銀行の努力による処理の財源捻出も限界に来ている。

不良債権処理は最終段階に入ったと思われるが、最終段階を切り抜けるには、相当に厳しい方法(銀行の破綻処理や一時国有化)をとらざるを得ないということである。