日本語タイトル:複数の地域でのコロナ対策のロックダウンによる経済的影響はサプライチェーンを通じて相互に作用を及ぼすか?

Do Economic Effects of the Anti-COVID-19 Lockdowns in Different Regions Interact through Supply Chains?

執筆者 井上 寛康 (兵庫県立大学)/村瀬 洋介 (理化学研究所)/戸堂 康之 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2021年1月  21-E-001
研究プロジェクト 経済・社会ネットワークとグローバル化の関係に関する研究
ダウンロード/関連リンク

概要

新型コロナウイルスの感染拡大のため、多くの都市、地域、国が必需産業以外での経済活動を規制する「ロックダウン」を実施した。このようなロックダウンによって、多くの国において生産が著しく減少した。本研究は、複数地域におけるロックダウンがどのようにサプライチェーンを通じて相互に作用しあうのかを、生産モデルに日本の約160万社のサプライチェーンのデータを適用してシミュレーションすることで検証する。さらに、サプライチェーンの複雑なネットワーク構造がどのようにロックダウンの相互作用に影響するのかを分析する。特に、サプライチェーン上の流れをポテンシャル(高低差のある)流れと循環する流れとに分解し、高低差・循環流れの役割に注目する。その結果、ある地域におけるロックダウンの経済的影響は、その地域の上流性、域内循環の強さ、および他地域とのサプライヤーの代替性によって大きく左右されることを明らかにした。特に、ある地域がロックダウンを解除する際、その経済的回復度はその地域が単独で解除するか、その地域と密接につながった他地域と一緒に解除するかによって、決定的に異なる。これらの結果は、ロックダウンの経済的影響を縮小するには地域間の政策協調が必要であることを示唆している。

概要(英語)

To prevent the spread of COVID-19, many cities, states, and countries went into lockdown, restricting economic activities in non-essential sectors. Such lockdowns have substantially shrunk production in most countries. This study examines how the economic effects of lockdowns in different regions interact through supply chains, a network of firms for production, simulating an agent-based model of production on supply-chain data for 1.6 million firms in Japan. We further investigate how the complex network structure affects the interactions of lockdowns, emphasizing the role of upstreamness and loops by decomposing supply-chain flows into potential and circular flow components. We find that a region's upstreamness, intensity of loops, and supplier substitutability in supply chains with other regions largely determine the economic effect of the lockdown in the region. In particular, when a region lifts its lockdown, its economic recovery substantially varies depending on whether it lifts lockdown alone or together with another region closely linked through supply chains. These results propose the need for inter-regional policy coordination to reduce the economic loss from lockdowns.