外国人留学生の就職支援の在り方に関する考察
― 留学生の就職活動実態調査及び大学の留学生就職支援の実態調査より ―

執筆者 田村 一也 (一般社団法人日本国際化推進協会)/石井 大智 (香港中文大学日本研究学系)/ツェン・シュージェー・オスティン (文部科学省国費留学生協会)/グエン・ティトゥ・タオ (在日ベトナム学生青年協会)
発行日/NO. 2020年2月  vol.7
研究プロジェクト 日本在住の外国人の就労、移住と家庭に関する実証研究

概要

本稿は、外国人留学生の日本での就職活動の実態と留学生を受け入れる大学の留学生支援の現状について、定量的に調査を行い、考察をまとめたものである。本調査の目的は、留学生の就職率向上における課題の抽出と、それに対する解決策を検討することにある。調査対象について、留学生は2011年から2019年の調査時点で、それまでに留学ビザを保有し、日本で働くために就職活動の経験をしたことがある方を対象として行った。また、大学は主に留学生を受け入れている大学を中心とした。留学生向けアンケートは、日本語と英語で調査票を作成し、SurveyMonkeyを利用してWebにて実施し、670件の回答を得た。大学については、日本語のみで調査票を作成し、Googleフォームと紙への記入をすることで回答を集め、33を超える回答を得た。それぞれの回答結果をもとに、分析と考察を行った。

レポートは、大きく3つの章から構成されている。1つ目は、留学生が就職活動で利用する人材サービスについてである。一般的な日本人学生と比較した際に、留学生が就職活動で利用する人材サービスの現状について明らかにした。分析結果より、留学生が勉学で使用する言語(日本語力の有無)によって、就職活動に関する情報の得られている量に差が見受けられた。また、外国人向けの就職支援サービスが増える一方で、留学生への認知が高くはないことが明らかになった。さらに、対面での就職支援、例えば、就職エージェントサービスやキャリアセンターでのサポートは、内定獲得に寄与する影響が高い可能性があることが窺えた。

2つ目は、留学生のキャリアセンターの活用状況についてである。分析結果より、留学生のキャリアセンター利用率は決して高くないことが判明した。また、日本語力が高い留学生においては、留学生に特化した情報を求める声が高いことが明らかになった。

最後に、大学における留学生の就職支援状況についてである。調査結果から、留学生を採用する企業の求人情報について情報が不足している声が多いことが明らかになった。特に、地方大学において、その傾向は顕著であった。また、先の留学生向け調査で、留学生が同じ外国人から情報を求めている傾向が強い結果が現れているのに対して、大学では留学生のネットワークを活用した情報発信が十分に出来ていない状況があることが分かった。

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