執筆者 |
児玉 直美 (コンサルティングフェロー) /乾 友彦 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2015年1月 15-E-002 |
研究プロジェクト | 日本企業の競争力:生産性変動の原因と影響 |
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概要
本稿では、経済センサスなどのデータを使用して、雇用創出・雇用喪失の手法を適用し、2006年から2009年における日本企業の海外進出と国内雇用者数の関係を分析した。製造企業に属する事業所の雇用減少のほとんどは、「子会社を持たない企業」と「海外子会社を持っているが子会社数が増加していない企業」によってもたらされていることが分かった。海外子会社を持ち子会社数が増加している企業の国内雇用者数は増加している一方、多国籍企業の中でも海外子会社数が増加していない企業の国内雇用者数は減少した。これらの結果から、日本企業の海外進出も製造業の雇用者数減少の一因であると判断される。また、海外子会社を持つ企業の雇用創出率、雇用喪失率は、海外に子会社を持たない企業よりも高く、多国籍企業は、市場の変化に合わせ、柔軟に雇用調整を行っているものと考えられる。
概要(英語)
This study applies Davis, Haltiwanger, and Schuh's method (1996) to measure job creation/destruction rates of establishments in manufacturing firms using Japanese Economic Census data in 2006 and 2009. Results state that the net domestic employment decrease mainly arises from firms without subsidiary companies, overseas, and non-expanding multinational enterprises (MNEs). Domestic employment increases when the number of overseas subsidiaries increases. Both job creation/destruction rates of MNEs are high, and the globalization of Japanese firms accelerates de-industrialization in Japan. The job creation and the net employment growth rates of establishments belonging to small-sized firms are lower than those in large-sized firms.