執筆者 |
冨浦 英一 (ファカルティフェロー) /伊藤 萬里 (ハーバード大学 / 専修大学) /椋 寛 (学習院大学) /若杉 隆平 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2014年11月 14-E-067 |
研究プロジェクト | 我が国における貿易政策への支持に関する実証的分析 |
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概要
自国が輸入を自由化する条件として外国からバランスのとれた譲歩を求める相互主義・互恵主義は、現実の貿易自由化を牽引する影響力のある考え方であるが、これに対して、自国が一方的・片務的に貿易を自由化する政策は、それがもたらす貿易の利益にも関わらず、政治的に支持されないことが多い。本論文は、1万816人に対するサーベイ調査のデータに基づいて、輸入自由化と相互主義に関する意見によって人々を4類型に分けた。その結果、輸入と競合する保護されている産業(日本の場合は農業)で働いている人々は、輸入自由化に反対しているだけでなく、貿易自由化に互恵性を求めていることが明らかになった。自国が一方的に輸入を自由化しても支持する層は、農業以外の産業に従事する者、管理的職種にある者、退職年齢を超える高齢者に見られる。高等教育が保護主義への支持に与える効果も確認された。
概要(英語)
Reciprocity has been an influential principle leading actual trade liberalization, while unilateral trade liberalization has been politically unpopular in spite of gains from trade. Based on a survey of 10,816 individuals in Japan, we disaggregate people into four categories by their opinions on import liberalization and reciprocity. People working in the import-competing protected sector (agriculture in the Japanese case) tend to demand not only protection but also reciprocity in trade liberalization. Unilateral free traders are found among people working in non-agriculture sectors, in managerial occupations, or who are above the retirement age. We also confirm the effect of education on protectionism.