| 執筆者 |
武智 一貴 (法政大学) |
|---|---|
| 発行日/NO. | 2012年9月 12-E-057 |
| 研究プロジェクト | グローバル経済における技術に関する経済分析 |
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概要
これまでの研究において、市場支配力効果が市場拡大効果を上回った時には知的財産権保護が貿易額に負の効果をもたらすと考えられてきた。ここで、市場支配力効果も市場拡大効果も供給企業の利潤を上昇させると考えられるため、知的財産権保護が新たな供給を促すはずである。しかしながら、本研究において、製品レベルの供給データを用い、各国特殊要因をコントロールすると、保護が市場供給に負の効果を持つことが明らかにされた。そして、市場供給モードの選択として、自社による直接供給かライセンシングかを考え、これらの違いを分析したところ、直接供給は知的財産権保護と負の関係にあったが、ライセンシングはそういった関係が無かった。この結果から、侵害リスクや市場競争にさらされている企業は保護を強化している国では直接供給を避ける傾向にあると考えられる。
概要（英語）
The negative effects of intellectual property protection (IPP) on trade volume were found in previous research findings in which market power effects dominate market expansion effects. Because both effects increase profits, IPP induces entry without ambiguity. However, using product-level entry data, negative effects on market supply are found after controlling for country-specific effects. An examination of entry mode choice (direct supply vs. licensing) reveals that while the direct supply mode is negatively related to IPP, licensing is not, implying that firms facing infringement risk or intense competition may avoid direct supply in IPP-stringent countries.
