2008-1-4-04

平成20年度「派遣労働者の生活と求職行動に関するアンケート調査(第4回)」

結果概要

独立行政法人経済産業研究所は非正規労働者(派遣労働者、パート・アルバイト、契約社員等)を対象とした「派遣労働者の生活と求職行動に関するアンケート調査」を過去3回行ってきたが(2008年12月時点の本調査及び2009年6月時点、12月時点の2回の継続調査)、今回、3回目の継続調査(2010年6月時点)を行った。以下はその調査結果の概要である。

まず、2008年12月と2010年6月の間の雇用形態の変化については、(1)契約社員や1ヶ月以上のアルバイト・パートで定着率が高い、(2)製造業派遣、契約社員、失業者で正社員化率が高い、(3)失業者の内、2008年12月に失業状態にあり、2010年6月も失業している長期失業の割合が高い(42%)、(4) 1日+1ヶ月未満のアルバイト・パート、失業者の非労働力化率が高い等が確認された。雇用期間の長さが定着率に関係し、契約社員や製造業派遣のような準正社員的な働き方が正社員への転換に結びつくと示唆される。

月収、労働時間といった労働条件については、直近の2009年12月調査からわずかながら改善傾向にあるが、将来の失業不安は根強く、主観的幸福度の改善はみられない。製造業派遣や契約社員では、仕事へのやる気が前回より低下している。これらは、2008年秋のリーマン・ショックからの景気回復が一段落したものの、人びとが生活の改善を実感できていないことを示している。

最近の労働者派遣をめぐる動きについて、特に、「労働者派遣に関する専門26業種関連の行政指導」と「企業の登録型派遣の利用の縮小」の影響をみたが、まず、今年2月から4月にかけての仕事、勤め先で起こった変化については、多くの雇用区分で半分以上の人が「何も変わっていない」と答え、その他派遣(登録型派遣)についても、業務範囲や契約期間が延長された割合は他の雇用形態よりも逆に高いという結果を得た。また、行政指導や派遣利用縮小に対する派遣労働者の認知度については、「わからない」、「変わらない」という回答が最も多いものの、行政指導よりも派遣利用縮小に対する認知度がより高かった(2割強)。仕事や勤め先で変化があったと答えた人に対し、更に行政指導や派遣利用縮小が自らの仕事や勤め先に直接的な影響を及ぼしたか否かについて尋ねたが、「関係がある」と答えた派遣労働者の割合は1?3割程度に止まった。全体的にみれば、上記の政策的動きの大きな影響は認められず、影響があったとしても景気改善の効果に相殺された可能性がある。しかしながら、派遣労働者の取り巻く環境と政策的影響の関係には引き続き注視していく必要があろう。

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