調査の目的と背景
2007年、2008年に実施した「日本企業の貿易建値通貨の選択に関するヒアリング調査」及び2009年に実施した「日本企業の貿易建値通貨の選択に関するアンケート調査」において、日本企業の輸出において米ドル建てシェアが高くなっている一つの要因として、アジアを中心として展開する生産ネットワークにおける現地法人と本社間の企業内貿易、特にアジアの生産拠点から第三国(特に米州)に輸出される貿易・生産構造が挙げられることが確認されている。
2008年の世界的な金融危機以降、日本の製造業にとっての最終消費地が徐々に米国からアジアに移り、アジアの現地法人が生産拠点としてだけではなく販売拠点としての役割が益々重要になっていくとすれば、近い将来には従来の米ドル中心のインボイス通貨選択に変化が生じる可能性があるのかどうか、現地法人での為替リスク管理はどのように行われているのか、さらに日本円やアジアの現地通貨を貿易建値通貨として使う可能性はあるのか、について現地法人を対象にアンケート調査を行い、東アジアにおける将来望ましい為替協調体制について日本企業の視座にたった政策提言を行うことを目的とする。
調査概要
- 調査対象・対象者数
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日本企業の海外の現地法人16,020 s
- 調査手法
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案内状送付、WEB回収
- 調査時期
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平成22年8月中旬から9月末
- 回収数(回収率)
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1,479 s(9.2 %)
- 主な調査項目
- Ⅰ. 海外現地法人としての役割
Ⅱ. 貿易建値通貨選択を含む為替リスク管理手法・体制
Ⅲ. 為替変動に対する価格設定行動
Ⅳ. アジアにおける現地通貨取引の将来
Ⅴ. 貿易(調達・販売)構造
Ⅵ. 輸入・調達および輸出・販売におけるインボイス通貨(建値通貨)選択