プロジェクト概要
都市のメリットについて、既存の都市経済学、特に実証研究においては生産面のメリットとしての集積の経済の研究に重きが置かれてきた。一方で、都市はその住人に対し、生産活動(就労)機会の提供のみならず、多様な消費やアメニティへのアクセスを提供している。しかし、都市住人の社会・経済活動に関する包括的なデータの欠落から、生産・就労以外の都市のメリットに関する実証的な分析は進んでいない。本研究プロジェクトでは、これまで欠落していた都市住人の消費やアメニティへのアクセスがもたらす都市集積のメリットについて実証的に検証することを目的とする。本プロジェクトでは具体的に2つの研究を進める。1つ目は携帯電話に搭載されたGPSの位置情報による都市住人の移動データを用いた分析である。これまでデータの欠落によって困難であった、都市住人の通勤以外の移動行動を把握することで、ショッピング等、都市内の人々の多様な移動行動をモデル化し、コロナ禍を経て定着したリモートワークや、大規模小売店閉店・誘致の経済厚生評価を行う。2つ目はこのような都市集積の活用のための土地利用規制のあり方についての研究である。土地利用規制は都市の混雑緩和のために導入されているが、それは集積の経済を損なうという効果ももたらす。最適な土地利用規制の設計のためには、規制の費用と便益の正確な測定が必要である。本研究では福岡市の土地利用規制における大規模な規制緩和が都市の土地市場に与えた影響について検証する。
プロジェクト期間: 2024年2月 5日 〜 2026年7月31日
(上記プロジェクト期間のうち、研究活動期間は2024年2月5日 〜 2026年1月31日とし、データ利用報告期間は2026年2月1日 〜 2026年7月31日とする)