プログラム:人的資本

人的資源有効活用のための雇用システム変革

プロジェクトリーダー/サブリーダー

大湾 秀雄 顔写真

大湾 秀雄 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

日本企業の意思決定や雇用の仕組みは、海外のそれらと互換性がなく、企業がグローバル化する上で大きな障害となっていた。グローバル化のさらなる進展により、国内と海外で分断された人材マネジメントを改め、制度の共通化と知識ネットワークの構築を通じた統合の必要性が高まっている。他方、働き方改革を求める政府や社会の要請、あるいは採用難もあり、従業員の属性やニーズ、キャリアが多様化している。採用、育成、配置、評価のいずれの面においても、現場の管理職が担うべき範囲が広がってきている。これは人事機能の分権化と呼んでも良い。人事部は権限を現場の管理職に委譲する一方、彼らの意思決定を支援し、組織の健全度をモニターするための情報の収集に一層力を入れることが予想される。

近年、基幹業務システムやグループウェアの機能拡張によって、利用可能な人事データは、加速度的に広がりつつあり、(1)目標管理制度の下での目標や業務配置の情報、(2)多面評価制度の下での部下や同僚による上司の評価、(3)従業員満足度調査による職場環境の情報、(4)SPIやヒューマンアセスメントによる非認知能力情報、といった新しい情報が研究用に提供される機会が現れてきた。AI技術の発展はこの動きを加速するだろう。

こうした新しいデータの活用により、本プロジェクトは、労働経済学や行動経済学における、重要な研究課題の発掘と理論実証両面からの探索的研究を行いたい。さらに、企業とタイアップしながら、実験経済学の知見を取り入れ、人事施策の効果測定等も行いたい。具体的には、研究期間中、男女格差、働き方改革、研修の効果、メンタルヘルス改善、採用市場におけるマッチング、中間管理職の能力評価、組織内イノベーションの7つの研究課題に注力する。

プロジェクト期間: 2017年5月29日 〜 2019年4月30日

主要成果物

2019年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

2018年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー