プロジェクト概要
固定資産税は我が国の市町村の基幹税と位置づけられてきた。自治体の公共サービスに対する対価という意味で「応益課税」とされ、地方財政理論においても「望ましい地方税」の一つに挙げられる。しかし、固定資産税の実態は必ずしも応益課税や望ましい地方税に適うものではない。償却資産課税は企業・資本課税の性格を持ち、企業の設備投資・立地の阻害要因になりかねない。小規模住宅や農地への優遇措置が土地の流動化・利用の効率化を損ねてきたとの指摘もある。固定資産税は市町村財政だけではなく、街づくりにも大きく関わる。本プロジェクトでは既存の研究を踏まえつつ、わが国の固定資産税の実態、具体的には農地への優遇措置(生産緑地)、償却資産課税の経済効果に着目する。後者については赤字法人が多く、流動性の制約に直目し易い中小企業に着目する。現行の固定資産税が土地利用(農地から宅地への転換)や中小企業の設備投資に与える影響について理論モデルをベースにしつつ、市町村データをもとに実証分析を行う。その上で地域経済の活性化・市町村財政の安定化の観点からあるべき固定資産税の方向性を探っていく。
プロジェクト期間: 2016年6月27日 〜 2018年9月30日