2004年度主要政策研究課題

VI. データベースの拡充とモデル操作運用の強化

マイクロデータの充実と、貿易、年金、エネルギー、環境の分野におけるモデル操作の向上に力を入れます。これらは経済産業研究所の研究に必要なインフラ基盤の強化につながるものです。

(B) サービス産業、高齢化、環境関連等のミクロ・データベースの拡充

1. 非営利法人に関するデータ整備研究

代表フェロー

  • 計量分析データ室

概要

近年、経済社会における非営利組織(NPO:non-profit organization)の役割が注目されているが、その経済規模や産業構造等を定量的に明らかにした統計データは極めて少ない。

そこで、NPO法人を対象にアンケート調査を実施し、その活動に関する基礎的な情報について収集・整備するとともに、NPO法人の活動規模全体の推計を行う。また、他の研究プロジェクトにも利用することのできるNPO情報のプラットホームとなるデータベースを構築する。

主要成果物

2. マイクロデータ開発研究

代表フェロー

  • 計量分析データ室

概要

近年、政府統計の個票データを用いた経済分析が活発に行われるようになってきたが、利用申請に手間がかかると同時にデータセットの整備についても多大な労力がかかる上、さまざまなノウハウが必要となっている。そこで、各種企業・事業所関連の統計調査を中心に、これまで個々の研究者が独自に行うことの多かった個票データの整備を集約的に行い、各種データベースを作成する。

具体的には、利用頻度の高い「企業活動基本調査」、「海外事業活動基本調査」、「工業統計調査」、「商業統計調査」の個票データを時系列的にリンクさせたパネルデータ作成に重点を置く。なお、データ自体の共有ができないため、データベースの作成プログラムおよび各種コンバーターを研究所内外の研究者に提供し、個票データ利用の便宜を図るとともに、作成手順やデータセットの概要を取りまとめる。

主要成果物

3. マクロ産業データ整備研究

代表フェロー

  • 計量分析データ室

概要

日本の産業別生産性の比較分析や一般均衡モデルの開発等に必要な産業構造の変化を追跡できる年次別産業部門別統計データの整備が要請されている。そこで、産業構造分析データベースの構築を視野に入れ、産業連関表を軸に1980年以降の国内産業別データおよび海外の基礎データの整備を行う。

具体的には、1995年基準の長期接続産業連関表(整備済み)をベースとして、その付帯表(固定資本マトリックスおよび雇用表)の長期接続を図るとともに、現在、暫定的に「延長表」を用いている2000年接続産業連関表の「基本表」への変換を行う。
さらに、これらデータの分析事例として、1980~2000年の産業構造変化の要因に関する実証分析を行うとともに、整備したデータの作成および利用方法についてまとめることにより、ユーザーの便宜を図る。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

(C) 規制緩和に関するケース・スタディ

1. 総合エネルギー統計の精度向上方策の研究

代表フェロー

概要

日本のエネルギー需給、エネルギー起源二酸化炭素排出量の算定の基礎となっている「総合エネルギー統計」は、京都議定書の発効に向けて重要度が増しているが、現状でなおエネルギー転換部門の推計精度が低い、第三次産業(民生業務部門)の業種内訳が不明であるなど精度上の問題を抱えている。

本研究では、各種の推計手法を用い、エネルギー転換部門の精度向上、第三次産業の業種内訳推計などの方策を検討し、総合エネルギー統計に改良を加えることにより、エネルギー・環境政策の企画立案・評価を支援する。

主要成果物

2. 応用一般均衡モデル研究

代表フェロー

概要

WTO新ラウンドの開始、また、アジア経済も含めた世界各地域における自由貿易地域形成の動きに伴い、貿易・投資の自由化・円滑化の経済効果については、通商政策関係者の関心が高まっている。適時、適切に、実際の政策課題についてシミュレーション分析を応用し、そのコスト・ベネフィットを数量的に明らかにすることにより、政策当事者の意思決定に貢献することを目的とする。
FTAについては、我が国政府の関係各府省等の要請も受け、我が国の交渉相手国とのFTAの経済効果を中心に、マクロ経済、産業別の影響・効果のシミュレーション分析を行う。

また、投資の自由化・円滑化については、APEC経済委員会における研究プロジェクトを担当し、加盟各経済における直接投資障壁の定量化を行うとともに、その撤廃が及ぼす経済効果を推計する。