国際セミナー

Getting Back a Level Playing Field under State Capitalism: Evidence from Quake Donations by Privately-controlled Companies in China

イベント概要

  • 2019年2月22日(金) 10:30-12:00
  • 場所:経済産業研究所 1121会議室 (経済産業省別館11階)
  • 講演者:陶志剛(Zhigang Tao)氏(Professor,Faculty of Business & Economics,The University of Hong Kong)
  • 司会:冨浦英一氏(RIETIファカルティフェロー/一橋大学教授)
  • 開催言語:英語

セミナーの内容

米中貿易摩擦の中で、米国は中国の経済システムが異質な国家資本主義であるといった批判を強めているが、本セミナーでは、この点に関連する経済理論的解釈と実証分析結果について報告があった。

まず、理論的には、社会的セイフティ・ネットが不備である場合には、国有企業が失業を防ぎ社会的安定をもたらす積極的意義があるとする議論が展開された。あくまで次善の議論であり、国有企業の効率性が余りに劣る場合には成立しないことにも留保が加えられた。フランチャイズ・チェーンにおけるオーナーとの類似性については質問も出たが、国有企業が大きな役割を果たし続けている中国経済の一つの理論的解釈が提示された。

また、実証分析については、地震の後で企業が行う寄付に着目して、株式市場で期待される率を上回るabnormal returnへの影響が取り上げられた。国有企業の場合には寄付との間で統計的に有意な関係は見出されないが、民間企業の場合には有意な関係があることが報告された。更に地域データと結び付けることにより、汚職が深刻であったり政府のガバナンスに問題がある地域でこの関係が特に強いことも示され、民間企業は政府との関係を深める戦略的動機で寄付を行う可能性が示唆された。官民の公平な競争条件全般に係る議論に敷衍できるかについて質問も出たが、米中摩擦で重要な論点にもかかわらず実証が難しいトピックについてデータを用いて計量的分析した結果で、中国経済を理解する上で政府と企業の関係の分析は不可欠であることから、今後の研究を深める上で有益な報告であった。

プログラム

10:30-11:30

"Getting Back a Level Playing Field under State Capitalism: Evidence from Quake Donations by Privately-controlled Companies in China" (co-authored with Julan DU, Yi LU, Yan ZHANG)

Speaker

Zhigang TAO (Professor,Faculty of Business & Economics,The University of Hong Kong)

11:30-12:00

Q&A

Moderator

TOMIURA Eiichi (Faculty Fellow,RIETI / Professor, Hitotsubashi University)