日本の雇用システムの再構築(開催報告)

イベント概要

  • 日時:2017年7月31日(月)13:00-17:30
  • 会場:独立行政法人経済産業研究所(東京都千代田区霞が関1-3-1 経済産業省別館11階)

開催報告

第1部は、まず、梅崎修教授(法政大学)から、1995年の日経連の「新時代の日本的経営」を読み解き、歴史的な視点から人事方針において何が変化したかについて報告が行われた。次に、小野浩教授(一橋大学)から、日本における終身雇用の状況について、その適用者=コアの割合は90年代以降、低下しているもののコアの中に入っている正規労働者の勤続年数などに変化はないことを報告した。最後に、島田洋一教授(早稲田大学)から、働き方改革実行計画で決まった時間外労働の上限規制と残された課題について報告が行われた。梅崎氏、島田氏の報告は、プロジェクトの書籍化に盛り込まれる予定である。

第2部は、他の出席メンバーから、それぞれ、日本の雇用システムの再構築に関して問題意識を簡単に報告し、自由討議を行った。たとえば、大竹文雄教授(大阪大学)からは、短時間でも高い生産性を確保できる仕組み作り、ITを駆使した働き方、AI活用による事務の効率化、自動化とそれに対応した人材育成などを再構築の必要な論点として取り上げた。また、大湾秀雄教授(RIETIファカルティフェロー/東京大学)は、働き方改革は各部署で息の長い生産性改善活動を行う必要があり、仕事のプロセスの見直しが必要なことを強調した。さらに、鶴光太郎教授(RIETIプログラムディレクター・ファカルティフェロー/慶應義塾大学)は、無限定正社員システムの打破のためにビッグプッシュアプローチも有効であること、AIなどの新たな機械化への対応については、AIに代替されない、補完的なスキルを身に着けることであり、無限定正社員システムを維持した上で配転や異動といった消極的な方策では対応不可であることを強調した。