クラスター・シンポジウム

「中国地方発、新たなイノベーションの実現に向けて…」~オープン・イノベーションの時代の地方圏のものづくり戦略~ (議事概要)

イベント概要

  • 日時:2008年2月4日(月) 13:40~17:20
  • 会場:グランドプリンスホテル広島  2階「瀬戸内」
  • 主催:(独) 経済産業研究所、(財) ひろしま産業振興機構
  • 後援:中国経済産業局、(財) ちゅうごく産業創造センター、(社) 中国地域ニュービジネス協議会、広島県、(財) 鳥取県産業振興機構、(財) しまね産業振興財団、(財) 岡山県産業振興財団、(財) やまぐち産業振興財団
  • 議事概要

    中国地方のクラスター関係者が一堂に会し、オープン・イノベーション時代の地方圏のものづくり戦略(開発段階での、大都市圏と地方圏、大企業と中小企業の連携を促進するための方策)について議論することを目的として、平成20年2月4日(月)、クラスター・シンポジウム「中国地方発、新たなイノベーションの実現に向けて…」を開催した。

    基調講演では、RIETIファカルティフェロー/東京大学大学院経済学研究科教授の藤本隆宏氏が、『「開かれたものづくり」と地方経済・中小企業』と題して講演を行った。「ものづくり」を「ものにつくり込む」ことと捉え、設計情報を媒体に転写し顧客に届ける上において、「良い流れをつくる技術」が重要であり(固有技術ももちろん大事だが)、この知識・技術を普及する役割を担う「ものづくりインストラクター」が「開かれたものづくり」のために必要性であるとの、中国地域のものづくりにとって非常に示唆に富む指摘を行った。また、東京大学大学院ものづくり経営研究センターにおける具体的な取り組みについて紹介した。

    また、大企業とのビジネスマッチング支援のプレゼンテーションでは、大企業と中小企業の開発における連携を進めることを目的とした先進的なクラスター活動である「情報支援ネット」および「情報家電ビジネスパートナーズ」について、(社)中部経済連合会中経連新規事業支援機構およびネオクラスター推進共同体よりそれぞれ発表があり、発表終了後には、中部地域や関西地域の大企業との連携を考える中国地方の企業との個別相談会を行った。

    パネルディスカッションでは、京都大学経済研究所教授の児玉俊洋氏をコーディネータに、「オープン・イノベーションの時代に、大都市圏と地方圏、大企業と中小企業の連携は、どうすれば可能か」をテーマとして、産学の主に連携の仲介者的な役割を担うパネリストに事例紹介、討論を行った。各種事例から、中国地方の特徴として、1)他地域に比べ製品開発型中小企業の規模が大きいこと、2)川下の大企業のニーズ情報が川上企業に上手く開示されていることが挙げられた。いずれにしても、大企業のニーズ情報の開示が、クラスターを活用したイノベーション力の強化にとって重要であり、仲介に携わる人、組織の役割の重要性が指摘された。また、もう1つの課題として「人材育成」の問題が挙げられた。業績が安定し、しっかりした技術をもっている企業であっても優秀な人材の確保には苦労しており、1)人材供給の観点からの大学の役割の重要性、2)地域において大学から開発力のある中小企業へ優秀な人材を供給する仕組みの必要性が指摘された。

    その他、中国地方に存在する連携の対象となり得る技術を発表する場として技術発表会を開催し、28機関から自動車関連技術を中心に51テーマの発表を行い、517名の参加者で賑わった。