開催案内
世界経済の発展、とりわけ東アジアにおける近年の顕著な貿易拡大や経済発展には新しい技術の発明と普及は欠かせないものとなっています。新規の技術を知的財産としてどのように保護するかは新しい技術の発明と普及に大きな影響を与え、その結果は経済発展に大きな影響をもたらします。知的財産の権利が保護されないときには、新発明への誘因は乏しく、新発明があっても発明者はその内容を公開しないでしょう。他方、保護が強すぎるときには、独占の弊害や更なる発明への障害となる可能性があります。グローバル社会では、こうした知的財産の保護のあり方は1国内の問題でなく、国際的な制度として考えなければなりません。TRIPs協定によって知的財産の保護に関する国際ルールが形成されつつありますが、所得や制度が異なる国際間で知的財産をどのように保護することが望ましいかは依然として重要な課題となっています。とりわけ国際貿易の拡大と経済発展とが密接に関連している東アジアが一層の発展を実現する上で、国際的視点に立った知的財産の保護のあり方はますます重要な課題となりつつあります。このシンポジウムは、知的財産保護の現状、制度の設計と運用上の課題、知的財産制度によって直接的影響を受ける企業の対応、国際的調和のあり方などについて、学術上、政策上、実務上の視点から検討することを目的とします。
シンポジウムの講演の部では、知的財産の保護がもたらす発明活動、貿易、経済成長への影響について米国、日本の研究者から、急成長する中国企業における知的財産の保護への対応について中国の研究者から、それぞれ報告がなされます。パネルディスカッションの部では、知的財産の保護に関する国際的な現状、国際ルールに関する検討課題、制度の設計と実施を巡る課題と政府の対応、制度によって影響を受ける国際企業の戦略と対応、望ましい知的財産権の保護のあり方などについて討論がなされます。
シンポジウムは、京都大学経済研究所と独立行政法人経済産業研究所が主催し、米、中、日の研究者、知的財産に関する政策担当者、企業責任者など多彩なメンバーの参加により行われます。
イベント概要
- 日時:2008年1月28日(月) 13:30-17:35
- 会場:東京国際フォーラム ホールB5 (東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)
- 開催言語:日英中 (同時通訳あり)
- 参加費:無料 (事前申込制)
- 主催:京都大学経済研究所 /独立行政法人経済産業研究所 (RIETI)
- 共催:財団法人総合経済研究所
- お問合せ:RIETI ミノワ
Tel: 03-3501-8398 Fax: 03-3501-8416
※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。
プログラム
13:30 - 13:35 開会挨拶
西村 和雄 (京都大学経済研究所長・教授)
13:35 - 15:45 講演の部
13:35 - 13:50 「グローバリゼーションと東アジア・ルネッサンス」
藤田 昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学教授/京都大学経済研究所特任教授)
13:50 - 14:30 「知的財産の保護:国際協調への現状と展望」
Keith E. MASKUS (米国コロラド大学ボールダー校社会科学部副学部長・経済学部教授)
14:30 - 15:10 「中国企業のイノベーションと知的財産環境:現状と変化」
陳 小洪 (中国国務院発展研究中心(DRC)企業研究所所長)
15:10 - 15:45 「知的財産権と国際貿易」
若杉 隆平 (京都大学経済研究所教授/RIETI研究主幹・ファカルティフェロー)
15:45 - 16:00 コーヒーブレーク
16:00 - 17:30 パネルディスカッションの部 「知的財産と世界経済の成長」
コーディネーター:佐和 隆光 (京都大学経済研究所特任教授/立命館大学政策科学研究科特別招聘教授)
パネリスト
田中 信義 (キヤノン株式会社専務取締役知的財産法務本部長)
鈴木 英夫 (経済産業省大臣官房審議官(産業資金担当))
Keith E. MASKUS (米国コロラド大学ボールダー校社会科学部副学部長・経済学部教授)
陳 小洪 (中国国務院発展研究中心(DRC)企業研究所所長)
若杉 隆平 (京都大学経済研究所教授/RIETI研究主幹・ファカルティフェロー)
17:30 - 17:35 閉会挨拶
及川 耕造 (RIETI理事長)
17:40 - 交流会
*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。