開催案内
賃金格差の拡大に注目が集まる中、格差是正策としての最低賃金政策に注目が集まっています。最低賃金の上昇は低賃金労働者の賃金を下支えして賃金格差の縮小に貢献する可能性がある一方で、低賃金労働者の雇用機会を減少させて、かえって格差の拡大をもたらしたりする可能性もあります。従って、最低賃金の上昇が賃金格差是正の観点から望ましい政策であるかどうかは、最低賃金が低賃金労働者の雇用機会を奪うか、また奪うとするとどの程度の弾力性の大きさかといった点に強く依存することになります。
しかし、最低賃金の上昇が雇用量にどのような影響を与えるかといった基礎的な研究は日本では緒についたばかりで、研究の蓄積は十分とはいえません。一方、米国においては最近20年で著しい数の研究が蓄積されており、その一部が日本においても広く知られることになっています。特に注目を集めているのがカード教授やクルーガー教授をはじめとする、最低賃金の上昇は雇用量に影響を与えないという研究結果です。しかし、彼らの研究は膨大な米国の最低賃金研究のごく一部に過ぎず、その全体像はうまく日本の学術コミュニティー、政策関係者の間で共有されているとはいえません。
そこで、米国における100本以上の研究を概観したサーベイ論文の著者であり、自身も最低賃金研究の第一人者であるカリフォルニア大学のデイビッド・ニューマーク氏を招き、米国における最近20年ほどの研究動向を手短に紹介していただきます。それを踏まえ、日本における今後の最低賃金政策を議論するに当たって必要となる追加的な情報、特に基礎研究がどのような部分にあるのか、日本の最低賃金研究を進めている研究者や政策担当者を交えて、ラウンドテーブル形式で議論します。
イベント概要
- 日時:2007年11月16日(金) 15:00~17:00(受付開始及び開場:14:45)
- 会場:経済産業研究所セミナー室(経済産業省別館11階1121)
- 開催言語:英語⇔日本語(同時通訳あり。先着40名)
- 参加費:無料
- 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
- お問合せ:石原千恵子
Tel:03-3501-1375 Fax:03-3501-8416
※本セミナーは引用禁止です。
プログラム・配付資料
総合司会:鶴光太郎 (RIETI上席研究員)
15:00 開会の辞
15:05 - 15:50 発表「最低賃金と雇用-米国での研究動向」
デイビッド・ニューマーク (カリフォルニア大学アーヴァイン校経済学部教授)
15:50 - 16:00 コメント「日本における研究動向」
川口 大司 (RIETIファカルティフェロー/一橋大学大学院経済研究科准教授)
16:00 - 16:55 ラウンドテーブル・ディスカッション
16:55 - 17:00 閉会の辞
ラウンドテーブル参加者
- 安部 由起子 (北海道大学大学院経済学研究科准教授)
- 有賀 健 (京都大学経済研究所教授)
- 臼井 恵美子 (名古屋大学大学院経済学研究科准教授)
- 大森 義明 (横浜国立大学経済学部教授)
- 大湾 秀雄 (青山学院大学国際マネジメント研究科教授)
- 神林 龍 (一橋大学経済研究所准教授)
- 権丈 英子 (亜細亜大学経済学部准教授)
- 佐々木 勝 (大阪大学大学院経済学研究科准教授)
- 玉田 桂子 (福岡大学経済学部准教授)
- 大川 龍郎 (経済産業省経済産業政策局 経済社会政策室補佐)
- 刀禰 正樹 (経済産業省中小企業庁創業連携推進課課長補佐)