日本の通商政策不確実性指数の改訂について
2025年2月28日
日本の通商政策不確実性指数の算出に用いる通商政策の用語セットを改訂しましたので、お知らせいたします。通商政策の用語セットの改訂に伴い、通商政策不確実性指数が変更されます。新しい指数は、2025年2月分の政策不確実性指数(来月3日公表予定)より、日本の通商政策不確実性指数として提供されます。
1. 用語セットの改訂内容
「関税引き下げ」と「関税の引き下げ」ということばが削除され、新たに「関税」ということばが追加されました。通商政策の用語セットに含まれることばの一覧は、通商政策の新しい用語セットを参照。
2. 従来の指数と新しい指数の比較
下の図では、1987年1月から2025年1月の従来の指数(黒線)と改訂された用語セットを基に算出された新指数(赤線)が描かれています。

1987年から2023年まで2つの指数はほぼ同じ動きをしています。また、両指数の水準に大きな差は見られません。例外は、米中貿易紛争が始まった2018年3月から2019年12月までの時期です。従来の指数の平均値は363.6です。一方、新しい指数の平均値は415.2であり、従来の指数より14%大きいです。
視線を2024年以降に向けると、7月から両指数の水準に開きが見られ始めます。新指数は、トランプ氏が米大統領選挙で勝利した11月以降、急激に上昇しています。2025年1月には450を超す水準まで達し、これは米中貿易紛争の山場だった2019年8月以降ではもっとも高いです。
3. 用語セット改訂の背景
通商政策の用語セットを改訂した背景には、これまで採用していた用語セットでは、第2次トランプ政権の貿易政策を巡る不確実性に触れられた記事を、新聞記事データベースから抽出しづらくなったことがあります。トランプ大統領が打ち出す関税政策に不透明感があることを論じた記事の多くに、「貿易政策」または「通商政策」のことばが使われず、「関税」や「関税政策」のことばが使われるという特徴がみられます。これまで採用していた用語セットでは、こうした記事は貿易政策の不確実性に関する記事としてカウントされませんでした。