開発援助をめぐる経済学者の「知の冒険」:投稿意見
木村 秀美
研究員
国内政策の視点も
伊藤洋一
私は明確にイースタリーの見方に賛成です。たとえば今のようなアフリカの状態で援助を続けても決してアフリカの人たちは豊かになり得ないと思う。なぜなら、援助を得た瞬間の彼らの豊かさが自立的・持続的ではないからです。彼らはまた次も欲しくなる。これは世界にとっても不幸です。
世界の各国を見ると、「豊かになるプロセス」がある。資本の集積、技術の獲得、そして勤労意欲。それらが揃わないと持続的成長は無理です。そのことをきちんと理解する必要がある。
木村研究員が
「重要なのは、援助を外交や政治的な関係の一部としてみるだけでなく、どうすれば発展途上国の将来を担う子供や若者たちがその国を自立的に発展させることに援助が貢献できるのかという視点であり、その点について考え続けることは翻って自分達の国、日本社会のあり方についても有益な示唆を与えてくれるだろう」と述べているのは正論だ。
それは日本の国内にあっても開発と発展において置いていかれつつある地方をどうするのか、ただ公共投資を続ければ良いのかという問題とも関連する。私は援助しただけではダメだと思う。そこには、ステップ(持続的成長への)が必要です。今の日本はそのステップなしに事を進めようとしている。むろんのこと、取り残されつつある企業や地方自身の努力が必要です。この論文はその問題を考える上でも参考になる。
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