松井芳郎著
東信堂, 2001
国際社会の相互依存関係が拡大深化した現在、国際法、つまり「国際社会の法」の重要性は飛躍的に高まっている。WTO協定をはじめとする国際経済法をきちんと理解するためにも国際法の理解は不可欠だ。しかし、国際法が国内法とは大きな点で性質を異にするために、理解するのになかなか骨が折れる。本書は、わが国の国際法学の第一人者が、最近の身近な事件を取り上げつつ、国際法の基本的枠組み、さらにその構造変化を解説したものだ。筆者の連続講演がもとになっているので大変読みやすく、しかも理論的な水準は高い。たとえば「第12回 私たちに何ができるの?」でのNGO、「市民社会」論は国際法という枠を越えた傑出したものになっている。