夏休み特別企画:フェローが薦めるこの1冊'01

CODE-インターネットの合法・違法・プライバシー

池田 信夫顔写真

池田 信夫(上席研究員)

ローレンス レッシグ著
山形 浩生・柏木 亮二訳
翔泳社, 2001

『CODE-インターネットの合法・違法・プライバシー』表紙 インターネットの将来についての、とても暗い本である。「政府や巨大企業は『知的財産権』などを武器にして、インターネットを古い法秩序に閉じ込めようとするだろう――」という著者の予想は、レコード業界による「ナプスター」の抹殺で早くも現実となった。著者はさらに進んで、インターネット自体がプライバシーを侵す「コード」として法を超えた力を持つことを危惧するが、これはやや心配しすぎだろう。しかし、インターネットをビジネスの道具としかとらえない日本と違って、言論の自由や個人の尊厳という憲法の原則に立ってインターネットを考える著者の姿勢には、教えられるところが多い。10月には、RIETIで著者を招いてコンファランスを行う予定である。

池田 信夫(上席研究員)