ムハマド・ユヌス自伝-貧困なき世界をめざす銀行家

ムハマド・ユヌス&アラン・ジョリ著
猪熊弘子訳
早川書房, 1998

マイクロクレジットを世界的に有名にした、バングラディッシュにあるグラミン銀行の創始者のハマド・ユヌス氏による自伝です。本書には、チッタゴン大学経済学部教授だったユヌス氏がグラミンバンクを設立し、それまで不可能と考えられてきた最貧困層への資金の融資を実現した経緯が書かれています。我々は、金融技術の進展といえば先進国の課題と考えがちです。しかし、マイクロクレジットの発明はまさに金融技術の革新であり、この本を読むと、途上国においてもその国の制度的環境と矛盾しない形で金融技術を革新することが、人々の暮らしをいかに変えるかがよく分かります。