日本語タイトル:企業間の共同研究ネットワークはイノベーションの質的パフォーマンスを向上させるか?-世界の大規模データによる国際比較-

How Does the Global Network of Research Collaboration Affect the Quality of Innovation?

執筆者 飯野 隆史 (新潟大学)/井上 寛康 (兵庫県立大学)/齊藤 有希子 (上席研究員)/戸堂 康之 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2018年10月  18-E-070
研究プロジェクト 企業の国際・国内ネットワークに関する研究
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概要

世界的な特許データを用いて、企業間の共同出願を共同研究とみなし、国際的な共同研究の特徴について国際比較を行った。さらに、企業間の共同研究ネットワークを介した知識の伝播が、企業のイノベーションの質的パフォーマンスに及ぼす影響について分析した。このとき、ネットワークにおける各企業の位置関係を、ネットワーク科学で用いられる様々な指標を導入したところが本研究の特徴である。その結果、日本は他の国に比べて共同研究を行う傾向が高いものの、他国企業との共同研究は少なく、国内で密な共同研究関係を形成していることが明らかとなった。しかし、グループ内で密につながっていることは、日本企業がイノベーションの質を向上させているという証左は見当たらず、日本企業のイノベーションの質の向上に効果的なのは、グループ間を橋渡しする多様なつながりを構築していることである。

これは、アメリカ企業が様々なタイプのつながりから恩恵を受けているのと対照的であり、日本を含めた多くの国で共同研究を通じた知識伝播によってイノベーションの質的パフォーマンスを向上させるのが容易でないことを示唆している。

(本稿は、日本語版のディスカッション・ペーパー(17-J-034)に加筆修正を行った上で、英語版にしたものである)

概要(英語)

This study examines how the research collaboration of firms affects the quality of their innovation outcomes using comprehensive patent data for firms in the world from 1991 to 2010. Identifying research collaboration by co-patenting relationships, we find that research collaboration with other firms, particularly with foreign firms, leads to substantial improvement in innovation quality. We also observe an inverted U-shaped effect of the density of a firm's ego network and a positive effect of brokerage in the global network, especially for firms with international collaboration experiences. These results are applicable to the effect on the quality of innovation achieved individually without any collaboration, suggesting that the knowledge of firms diffuses to and is acquired by their collaboration partners. Finally, we find that the collaboration effect is larger in the 2000s than in the 1990s and varies across countries.