日本語タイトル:援助の有効性、ガバナンス、および公共投資

Aid Effectiveness, Governance and Public Investment

執筆者 春日 秀文  (関西大学) /森田 雄一  (名古屋市立大学)
発行日/NO. 2009年11月  09-E-055
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概要

発展途上国への開発援助については必ずしも効果的に行われていないという批判がある。本稿は、援助の有効性を高めるためにどのような援助政策を採用すべきかを明らかにすることを目的としている。ここでは、インフラ投資と貧困層支援という二種類の援助を考慮し、成長モデルを用いた分析を行う。本稿の特徴は、戦後の日本がそうであったように、援助への依存度が発展とともに低下していくという過程を考慮した点である。わずかな援助の増加でも援助の有効性を高めることができるということ、援助の有効性はガバナンスよりも成長率に大きく依存することが主要な結論として得られた。これらの結論から、先行研究において争点となっている「良い政策」と援助の有効性の関係は小さいことが示され、援助の有効性を高めるためには低成長国へのインフラ投資が必要であるという政策的含意が得られた。さらに、本稿では経済インフラを重視してきた日本の援助の評価も行っている。



概要(英語)

To analyze how to make aid effective, we develop a growth model in which aid finances infrastructure investment and pro-poor spending. We assume that recipient countries are aid dependent in the early phase of development but finally become independent. In the model, donors can accelerate the independence of a recipient from aid by investing in infrastructure. We demonstrate that even a small increase in aid can improve aid effectiveness and that aid effectiveness depends more on growth rates than on the efficiency of government. This paper also evaluates Japan's aid, which has strength in economic infrastructure.