調査の目的
景気動向など経済全体の動きに対して、一般に物価の動きはにぶい。とりわけ、不況期において物価が容易に下がらない現象は、「名目価格の(下方)硬直性」として知られており、日本のみならず各国でみられる現象である。近年、この名目価格の下方硬直性は、景気循環のメカニズムや金融政策の効果を解明するうえで重要視されており、ヨーロッパ中央銀行を中心に調査研究が進められてきた。その結果、名目価格の下方硬直性の背景には、名目賃金を下げられないという「名目賃金の下方硬直性」が存在している可能性が指摘されるようになった。
本調査の目的は、ヨーロッパ中央銀行および一橋大学経済研究所の協力のもと、欧州で実施される調査と共通のフォーマットを用いた、賃金改訂とサービス・製品価格改訂の関係に関する調査である。
調査概要
- 調査対象
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当所が提供する企業リストより正規従業員及び非正規従業員各16,326件、合計32,652件を標本抽出
- 調査方法
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郵送調査(調査票は正規社員用と非正規社員用の2種類)
- 実施時期
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平成20年(2009)2月~3月
- 回答数(回収率)
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正規従業員 1,327件(約9%)
非正規従業員 1,328件(約9%) - 調査事項
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第1節:「賃金決定」
賃金決定の慣行、賃金変更の頻度や時期第2節:「所定内賃金額の引き下げ、環境の変化への対応」
賃金引下げへの潜在的な障害及び経済的な環境変化への企業の反応第3節:「価格の設定及び変更」
価格設定の慣例、価格の主な決定要因、価格変更の頻度第4節:「企業に関する情報」
企業活動の全体像