調査の目的
2022年3月以降、急速に円安が進み、また、ロシアのウクライナ侵攻によって原油や他の資源価格も高騰した。日本企業は輸入財の生産コストの上昇に直面し、このコスト上昇分を輸出価格にいかに転嫁するかという課題に直面している。また、米中間の貿易摩擦や経済安全保障面での対立など、世界各国は保護主義へと政策転換しつつある。特にロシアのウクライナ侵攻はこれまでの自由貿易体制を揺るがし、グローバルなサプライチェーンが寸断される事態となっている。こうした世界経済の混乱の中、世界中に海外現地法人を展開している日本企業は生産販売体制の見直しを図っているのか否か、そして貿易建値通貨選択、価格設定行動、為替リスク管理という重要な企業戦略に変化が見られるのか否かに強い関心を持っている。
本アンケートは、日本の海外現地法人を対象として2010年度、2014年度、2018年度に計3回実施したインボイス通貨選択に関するアンケート調査の第四弾である。過去4年間に起きた新しい状況に対して、日本企業はどのような為替戦略をとっているのか、生産・販売ネットワークの見直しに伴って為替リスク管理やインボイス通貨選択行動がどのように変容しているのかを詳細に調査分析し、日本企業の視座からマクロ経済の重要な課題の解明に取り組み、政策提言を行うことを目的として実施した。
調査概要
- 調査対象
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日本企業の海外現地法人(製造業、卸売業、統括会社)22,529社
- 調査方法
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郵送により挨拶状送付、インターネット回答
- 実施時期
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2023年1月13日~2月28日
- 回収数
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1,390件(6.2%)