2008-1-03

平成20年度「水産エコラベル貼付商品の消費者需要に関するアンケート調査」

プロジェクト

水産業における資源管理制度に関する経済分析

プロジェクトリーダー

寳多 康弘 (ファカルティフェロー)

サブリーダー

馬奈木 俊介 (RIETIファカルティフェロー)

調査の背景と目的

近年、我が国の水産資源量の減少と国際経済環境の変化に伴い、水産業の国内生産高の減少は著しいものとなっています。水産資源を持続的に利用して水産業を持続的に発展させるために、我が国では水産資源管理制度を積極的に導入していく必要性が高まっています。

新たな水産資源管理制度が導入されるとき、漁業関係者は不適正な漁獲を排除し、水産資源を保全する努力を払わなければなりません。その努力及び成果を需要者に正確に伝達するシグナルとして、水産エコラベルなどのラベリングの役割が重要になります。漁業関係者の努力は、流通業者も含む水産物の購入者に伝わることによって、より広く認知され、より高く評価されることになります。同時に、消費者にとっても、ラベリングされた商品を購入することで間接的ながら水産資源の保護に関わることが可能となる、というメリットがあります。イギリスやドイツなど、海外では既に数種類の水産エコラベルが導入されており、漁業関係者の資源管理努力を消費者に伝達するシグナルとして十分な機能を果たしています。

我が国で今後水産資源管理制度を導入していく際に、水産物を最終的に購入する国内消費者が水産資源管理制度をどのように評価するかという情報は不可欠です。特に、資源管理下にある水産物(=水産エコラベル貼付商品)に対してどの程度の支払い意志を有するかという情報が重要になります。しかし、我が国ではラベリングの導入が緒に就いたばかりであることもあり、ラベリングの有無が需要構造に与える影響を把握した研究はごく僅かです。

本研究では、水産資源管理制度を支援する仕組みとしての水産エコラベルに対する我が国消費者の需要構造を明らかにします。具体的には、Web調査を行い、消費者の潜在需要を分析し、水産エコラベル貼付商品のどのような属性に対してどの程度の支払い意志を有するかを求めます。これにより、効果的なラベリングのあり方を見出すと共に、ラベリングが漁業者にとって水産資源管理制度導入のインセンティブとなり得るか否かを検証します。

調査概要

     
調査対象

有効回答数2,000人以上を確保するために、調査会社が保有する登録モニターから下記の条件により186,02人を抽出。(層化抽出)

① 年齢:20~60歳
② 性別:男女
③ 住所:全国
④ 家計で食料品を購入する役割の人(プライマリーショッパー)
⑤ 少なくとも月に一度は水産物を購入する人

調査方法

インターネット調査

回答数

3,370人(18.1%)

実施期間

平成20年(2008年)3月

調査項目

① 回答者の食用魚に対する関心と購買行動
② 消費者が魚を購入する際の基準として重視する点
③ ラベル一般に対する信用度
④ エコラベルの認証機関として信頼される機関 など

関連リンク