H24-1-11

男女の人材活用に関する企業調査2013(中国・韓国)

プロジェクト

ダイバーシティとワークライフバランスの効果研究

プロジェクトリーダー

樋口 美雄 (ファカルティフェロー)

背景および目的

日本、中国および韓国は、同じ北東アジアに位置しており、男女別役割分業に深く関係するといわれる儒教精神を有し、職場の男女間格差が認められる点で共通している。加えて韓国では女性の年齢別労働力率カーブが「M字型曲線」を描いており、「専業主婦」も多く、女性の就業中断傾向が認められる点なども日本との共通点である。

一方、3カ国の管理職の女性比率についてみると、日本において当該率が非常に低く維持されているのに比べ、他の2カ国の実状は異なる。中国は少なくとも初級管理職の女性割合が日本に比べて高く、韓国では2004年に国会議員を対象とした女性の割当制度に続き、2006年に女性雇用者割合増加提案書の提出を導入した結果として管理職の女性比率が逓増している。

また家庭要因をみると、中国では特に経済発展が最も進んでいる沿海都市部の省市では、子どもがいても雇用労働者や管理職として働く傾向が強い。中国沿海部の有配偶女性の就業決定要因として、子どもがいないことは強く影響しているとはいえない。

研究の目的は、当企業調査の調査結果データを用いて、①3カ国における男女の昇進構造を明らかにしてその違いを比較し、②女性を正社員や管理職として活用することと、企業の生産性などの業績指標の間に正の相関があるのではないかという仮説を検証するなど、多角的に分析することである。例えば女性管理職比率、正社員女性割合、および生産性などの比較を、レベル別管理職や家族変数を加えて推定することにより、少なくとも初級女性管理職比率が高い企業で生産性が高いことや、管理職決定要因への家族の影響が明らかになると考える。

中国および韓国においては、日本企業の進出も盛んであり、両国は経済成長が著しく労働コストも上昇しており、就業者交流も盛んになってきているので、業種によっては一つの労働市場になっていく傾向が認められる。両国の男女別の視点でみた労働市場の在り方や課題などの傾向を知り、日本企業と比較し、日本経済・日本企業・就業者に提言していくことは意義がある。また、同じ北東アジアに位置して、世界経済に大きな影響力のある日中韓3か国における男女の人材活用について分析をおこなうことにより、世界の女性の就業に貢献できるであろう。

調査概要

     
調査対象国、地域および回収数

・中国:北京市、上海市、広州市(各都市100サンプル計300サンプル)
・韓国:ソウル、インチョン、キョンギドー、クァンジュ、プサン、テグ、テジョン(計314サンプル)

調査対象者

企業の人事担当マネージャー相当以上

調査手法

インタビュー調査

実査期間

平成25年(2013年) 3月~6月

調査結果
コンタクト企業数 完了企業数 完了率
中国 1,212社 300社 24.8%
韓国 5,914社 314社 5.3%

※韓国の完了企業中、役員を除く従業員数100未満の企業9社が含まれる。

主な調査項目

企業属性[企業規模、業種、企業が所在する都市名、資本金、売上、営業利益、粗利益、固定資本額、総人件費など、就業者属性[職種(ホワイトカラー・ブルーカラーなど)、職位(上級管理職・中級管理職・初級管理職・一般社員)、従業上の地位(正社員・臨時社員)、学歴、年齢、共産党員・労働組合員、に関する男女別人数、実労働時間、給与、特に上級管理職(部長クラス相当)・中級管理職(課長クラス相当)・初級管理職(係長クラス相当)別の年齢別子どもの有無割合など]、経営者属性、男女就業者別に継続就業支援関連、企業の状況、昇進決定要因、育児方法、男女別の仕事内容、他。

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