プロジェクト概要
本研究では、量的・質的緩和政策の効果について内外の研究のサーベイを行うとともに、日本における量的緩和政策の効果を実証分析する。また、デフレからの脱却に伴って予想される金利上昇が生み出す財政コストを推計する。具体的には日銀が保有する国債価格下落損失、ないしは日銀の利払い負担増加損失、銀行が保有する国債価格の下落に伴う金融不安の発生と政府による預金者、保険契約者の保護コスト、政府債務の利払いコスト増加などである。
また、日銀が吸収しうる財政コストの限界についても推定を行う。具体的には、国債価格の下落に伴う損失が巨額になり、売りオペに用いる金融資産が不足したり、超過準備に支払う金利を引き上げたりする必要が発生する可能性がある。その場合には日銀納付金のカット、預金準備率の引き上げによる日銀収益の押し上げ、インフレによるマネタリー・ベース需要の拡大による日銀収益の増加などが必要になる可能性もある。
また増税・歳出削減による財政赤字削減と、インフレによる政府債務の実質償却(インフレタックス)の比較を行う。具体的にはインフレタックスの所得・資産分布に与える影響と大幅な増税・歳出削減が所得・資産分布に与える影響を比較し、相対的なディストーションの比較を行う。また、移民政策を転換した場合の潜在成長率に与える影響を推定し、財政の維持可能性に与える影響を評価する。
プロジェクト期間: 2014年4月 8日 〜 2016年3月31日