プロジェクト概要
2006年度
開発援助に関する議論の中心は、プロジェクトから財政支援へ、融資から債務削減・グラント中心へ、バイからマルチへと大きな転換点を迎えている。しかし、国際援助コミュニティにおける基本的開発目標である、MDGs (Millennium Development Goals) 達成の政策ツールは必ずしも明らかではなく、「直接的貧困削減」と「経済成長媒介戦略」の相対的有効性についても議論が続いている。また、援助の「量」を巡る議論が展開される一方、援助の「質」に関する議論は深化していない。
これらの問題意識を踏まえ、本研究では、「開発援助のガバナンス構造*」をエビデンスに基づきながら体系的に解明することを目的としている。具体的には、こうした問題意識に基づき、アジアとアフリカにおける開発援助効果の違いとその要因について、貿易・投資・援助の「三位一体のモデル」による計量分析等を行う。
*「開発援助のガバナンス構造」とは、ドナーの意思決定構造、受入国の意思決定構造と援助の形態(モダリティ)で構成される、公的国際資金フローとしての開発援助の「統治構造」のことである。