プロジェクト概要
2009年度
デジタル化やモジュラー化の技術が発展した今、制約条件の緩い製品の設計は、たちまちコモディティ化してしまう。日本の現場の活路は、難度の高い設計問題に集団として挑戦し続け、「設計大国」になることである。歴史的経緯から「統合型ものづくり」の組織能力が偏在する日本の現場は、要求機能や制約条件の厳しい人工物、すなわち、複雑なインテグラル型の製品・工程にチャレンジし続けることに活路を見出す。そのためには、管理系・制御系を含む設計支援の諸アプローチを相互補完的に総合し、いわば総動員で現場の技術者を支える必要がある。日本の産官学は、総がかりで、そうした現場を支援していかねばならない。
2007年度~2008年度
一般に、企業が市場に供給する製品について、顧客の要求機能や社会的な制約条件(環境・安全対応など)が高度化・複合化すると、モジュラー化による対応は難しくなり、製品はインテグラルかつ複雑なものになりやすい。とりわけ、被制御系の機構部品(メカ)が多く残り、結果としてメカ・エレキ・ソフトが共進化する自動車のような製品の場合、被制御系であるメカ設計と、制御系であるエレキ・ソフト設計の間の相互協調が要求される。本研究では、以上のような視点に立って、現代における「製品の複雑化」という問題を、設計論の観点から探索的に考察する。具体的には、企業が市場に供給する製品を「人工物」(設計されたもの)と解釈し、それが複雑化・簡素化する諸要因と企業の対応について分析する。
プロジェクト期間: 2007年7月24日 〜 2009年4月30日
主要成果物
2010年度の成果
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
- 10-P-016
「設計比較優位説のプロセス的基礎」 (藤本 隆宏)