政策研究領域(基盤政策研究領域) II. 国際競争力を維持するためのイノベーションシステム

日本企業の研究開発の構造的特徴と今後の課題

プロジェクトリーダー/サブリーダー

長岡 貞男 顔写真

長岡 貞男 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

2010年度

本研究プロジェクトで実施してきた発明者サーベイの結果を利用し、また特許データ、企業活動基本調査など、他の関連統計との接続を進めて、日本のイノベーション過程に関して深く研究するとともに、イノベーション・パフォーマンスを高めるための政策問題に光を当てる研究を実施し、研究成果を発信する。このため、1)発明者のキャリアの分析を可能とするよう、発明者サーベイの対象となった発明の発明者と特許データベースとの接続を行い、企業と発明者の名寄せを進める。2)欧州の学者等と協力して、日米欧各地域の発明者による同時期の発明(優先権主張年が2003年から2005年の特許)を対象に、統一した質問票で新たな調査を行う。

なお、この他に、3)日米のイノベーション・システムの大きな差であると考えられるスタートアップのあり方を検討するため、RIETI国際ワークショップ"New Firm Creation and Innovation"を開催する予定であったが、震災の影響で基調講演者等の来日が不可能となり中止とした。研究成果は来年度にWPとして公表の予定である。4)本プロジェクトの研究成果の発表を含め、イノベーション研究の国際的な研究交流を促進するために、一橋大学、WIPO等と協力してアジア太平洋イノベーション・コンフェレンス(2nd Asia Pacific Innovation Conference)を日本で開催する予定であったが、震災の影響で日本での開催が困難となり中止をした。改めて2011年度に、シンガポールで規模を縮小して実施されることになり、研究成果は発表する予定である。

2009年度

本研究プロジェクトで実施してきた発明者サーベイ(昨年度の追加サーベイを含む)の結果を利用し、また特許データ、企業活動基本調査など、他の関連統計との接続を進めて、日本のイノベーション過程に関して深く研究するとともに、イノベーション・パフォーマンスを高めるための政策問題に光を当てる研究を実施する。このため、1)発明者のキャリアの分析を可能とするよう、発明者サーベイの対象となった発明の発明者と特許データベースとの接続を行い、その名寄せを進める。2)人材育成のあり方など、科学と産業のイノベーションの関係の今後のあり方を検討するため、RIETI国際ワークショップ"Science for innovation"を開催する。3)日米サーベイの統計データの公表など、日米および日欧など国際的な学者による共同研究と研究交流の推進にも取り組む。

2008年度

昨年度のサーベイ及び今年度の追加サーベイの結果を利用し、また他の関連統計と接続して、イノベーション過程についての深い研究を実施するとともに、政策問題に光を当てる研究と国際的な共同研究を実施する。具体的には、1)研究の一つの焦点として、特許制度のあり方についての研究を進める。2)発明者サーベイを使った企業や個人の研究開発パフォーマンスの分析が可能となるように、発明者サーベイの対象となった発明の出願人、発明者の特許データベースにおける名寄せを行う。また、3)文部科学省科学技術政策研究所の全国イノベーション調査と発明者サーベイの両方を利用した共同研究を開始し、イノベーション過程をより包括的に把握し、そのパフォーマンスの決定要因を探ることとする。

2006年度~2007年度

日本経済の今後の成長のために、企業等における優れた研究開発が極めて重要である。しかしながら、研究開発の知識源、外部連携、スピルオーバー、資金制約、研究成果商業化への制約、発明者の動機などについての社会科学的知識は非常に限定されている。本研究では、企業内の研究プロジェクトのレベルでこうした情報を体系的に収集するために、日本の発明者への包括的なサーベイを行う。このようなサーベイは日本で初めての取り組みとなる。また、サーベイで得られた情報と既存統計を組み合わせた統計的分析によって、日本企業の研究開発の構造的な特徴(たとえば、製造現場における発明の重要性)を明らかにすると共に、研究開発パフォーマンスの決定要因と今後の政策課題を分析する。更に、来年度以降、国際比較分析を実施するために、質問票や調査方法について欧州と米国の学者との国際的な意見交換など準備作業を行う。

プロジェクト期間: 〜 2010年6月30日

主要成果物

調査結果